春のクラシックシーズンまっさかりですが、
JRAが今年の夏季競馬について概要を発表しました。
以前から報じられていた暑熱対策についてや、
これまで未定だったスケジュールが確定したものなどその内容は多岐にわたります。
そこで今回はJRAが今年夏季競馬で何を変えてくるのかという点について
重要そうな部分をまとめてご紹介します。
■JRAの暑熱対策
まず今年の夏季競馬について例年と大きく変わる部分について見てみましょう。
それは暑熱対策です。
近年夏の暑さが激しさを増しており、
それにより馬が熱中症にかかるリスクが高まっています。
そのためJRAではシャワーの設置やパドックでのミストなど様々な対策をしてきました。
しかしもはやそれだけではどうにもならないということで、
今年から一部で昼の開催を休止することにしました。
具体的に見てみましょう。
まず2024年7月27日から8月4日の開催について、
競馬開催を札幌と新潟の2場開催とします。
例年であれば3場での開催ですが、
小倉競馬の開催時期をずらしこの期間は2場のみとなりました。
そして、
新潟競馬場については競走時間帯を拡大することにより、
気温が特に高い時間帯の開催をしないようにします。
まず第1レースは9時35分にスタートします。
その後第5レースを11時35分に終えたら、
そこから15時10分まで休止時間となります。
そして休止時間を終えた15時10分に準メイン競走として第6レースを行い、
メインレースとして15時45分に第7レースを開催します。
さらにこの第7レースが終了した後も競馬は続き、
最終の第12レースが終わるのは夕方の18時25分となります。
これまでが16時半までには終わっていたことを考えると、
2時間ほど競馬開催時間が伸びます。
往年の競馬ファンにとっては大きく発走時間などが変わるため、
馬券の買い間違いには気をつけたいところですね。
他にも暑熱対策として、
装鞍所の集合時刻も変更となります。
先ほどの期間における新潟開催では、
すべての競走において装鞍所への集合時刻をこれまでの発走50分前から40分前へと変更します。
そのため、これにより馬体重の発表時刻も遅れることになります。
さらにパドックの周回時間についても、
夏季競馬ではすでに通常より短くなっていましたが、
それが更に短くなります。
パドック派の人にとってはチェックする時間が短くなるのでここも注意が必要です。
このように、
JRAでは暑熱対策として休止時間を設けるという手法を今年試すことにしました。
期間としては4日間の開催のみで、
それも新潟競馬場のみということですが
これにより熱中症にかかる馬の数を減らすことができ、
馬券の売り上げも下がらなければ、
来年以降は更に期間や競馬場を拡大して行っていくことになりそうです。
今までと発走時刻が変わることによりレースの傾向にも変化が見られるかもしれません。
たまにメインレースや最終レースでの騎手のコメントとして
「西日が馬の目に入り込んでしまった」といったものがあります。
西日を嫌がって能力を発揮できなかった馬は確かにおり、
18時25分まで開催するとなるとこうした事象が今後多く発生することになるかもしれません。
そのため初年度となる今年はどのようになるのか、
結果にも注目をしていく必要がありそうです。
■阪神競馬場が休止
そしてもう1つの大きな出来事としては阪神競馬場の一時休止です。
これはスタンドのリフレッシュ工事によるもので、
工事は2025年春までかかる大規模なものとなります。
そのため4月14日を最後に、
今年は阪神競馬場での開催がなくなります。
それに伴い、
阪神競馬場で例年開催されていたレースの多くは京都競馬場で開催されることになります。
昨年まで京都競馬場が工事をしており、
今度はその逆ということになりそうです。
夏季競馬の重賞競走において、
宝塚記念や鳴尾記念、
マーメイドステークスが京都競馬場で開催されます。
また、暑熱対策により小倉競馬場の開催が前倒しされる関係で
プロキオンステークスは中京ダート1400mから小倉ダート1700mに、
中京記念は中京芝1600mから小倉芝1800mへと距離も変更されます。
特にプロキオンステークスは短距離寄りのカテゴリーから中距離のカテゴリーに移るため、
出走するメンバーが大きく変わりそうです。
こうした部分があることを考えると、
今年の夏は過去のデータがなかなか通用しないかもしれませんね。
■その他の夏季競馬でのトピック
今回大きな変更点としてはこれまでご紹介した2つです。
その他については細かい部分も多いので、
駆け足でご紹介します。
まずは8月31日に札幌競馬場で、
アジア競馬連盟トロフィーという記念競走が実施されます。
これは第40回アジア競馬会議が札幌で開催されることを記念してのものです。
このアジア競馬会議というのはアジアにおける競馬組織が
親善関係を深めることを目的に行われるものです。
JRAとビルマのラングーンターフクラブが提唱して設立されました。
そのためかなりの頻度で日本で開催されており、
1960年の第1回、
1969年の第8回、
1985年の第18回、
そして2008年の第32回と、
これまで5回日本がホスト国となりました。
ただ、この5回はすべて東京で開催されており、
今回初めての札幌での開催となります。
これも暑熱対策の一環と言えるのかもしれませんね。
他には、
今年もワールドオールスタージョッキーズの開催が決定しています。
8月24日、25日に全部で4つのレースが実施されます。
出場騎手はJRA7名、外国、
地方競馬所属騎手7名の計14名で、
JRA選抜とワールドオールスター選抜でのチーム対抗戦となります。
このレースでトップジョッキーに騎乗してもらうことにより新たな一面を発見する馬もおり、
なにかきっかけがほしい陣営にとっても有益なレースとなりそうです。
同じ様に例年開催されているものとして、
サマーシリーズ各種も実施が決定しています。
対象レースも変化がなく、
例年通り激しい争いが期待できそうです。
このシリーズ各種で優勝した場合、
3000万円から5000万円の報奨金が交付されます。
決して少なくない金額のため、
狙えそうな馬は狙ってきそうです。
ちなみに2023年はサマー2000シリーズが2022年に続き該当馬なしに終わり、
サマーマイルシリーズではメイショウシンタケがシリーズ史上初となる、
重賞未勝利での優勝となりました。
このように該当馬なしや、
重賞未勝利の優勝となるとどうしても盛り上がりに欠ける部分があるため
今年こそはいつも以上の盛り上がりを見せてもらいたいですね。
その他の本当に細かい部分で言えば、
競走回数について前年同様にすべての開催日において12競走を行い、
合計で936競走が行われることも発表されています。
ただ、内訳を見てみると、
昨年より障害競走が1つ減り、
その分平地競走へと組み込まれています。
また、今年はJRA創立70周年ということで、
函館スプリントステークスなど4レースが、
JRA70周年記念競走として実施されます。
さらに安田記念の開催日にはタイキシャトルカップが、
宝塚記念の開催日にはサイレンススズカカップが実施されます。
このように今年の夏季競馬は、
暑熱対策と阪神競馬場の休止といったことが大きなものとなり、
その他に細かい色々な部分が変更となっています。
特に昼に休止時間を設け、
競馬終了時刻を約2時間遅らせるというのはJRAにとってはかなり大きな挑戦です。
果たしてこの取組みがうまくいくのか注目したいですね。