キタサンブラックがすごすぎる!イクイノックスやソールオリエンスなどを輩出し次世代のリーディングサイアーはこの馬に

2023年になってもキタサンブラック産駒の活躍が止まりません。
初年度産駒のイクイノックスがドバイで勝ったと思えば
皐月賞は2世代目のソールオリエンスが勝利しました。
さらに青葉賞を制したスキルヴィングや、桜花賞2着のコナコーストなど
多くの馬がクラシック戦線に乗ってきています。
さらにキタサンブラックは昨年の年度代表馬イクイノックスも輩出しており
その勢いがとどまるところを知りません。
今回はそんなキタサンブラックの種牡馬としての活躍と、
意外な好走条件、そしてキタサンブラック産駒の高額馬の現状について見ていこうと思います。
初年度から活躍馬を多数輩出する

キタサンブラックが種牡馬となったのは2018年のことです。
2度の年度代表馬に輝いた馬ではありましたが、
父がブラックタイドということでどの程度の種付け料に設定されるのかに
注目が集まっていました。
そして最終的に初年度は500万円という種付け料に設定され、
130頭と種付けをしました。
ただ、その時に生まれた産駒の評判が高くなかったのか
翌年には400万円の種付け料となり、種付け頭数も110頭にとどまります。
さらに3年目のシーズンとなった2020年には種付け料は変わらなかったものの
92頭との種付けに落ち込みます。
このことを受け、2021年のキタサンブラックの種付け料は
ついに300万円にまで落ち込みます。
それでも種付け頭数は102頭と若干戻した程度にしかなりませんでした。
こうした流れは、この年にデビューする初年度産駒たちが活躍しなければ
一気に加速し厳しい種牡馬生活となる可能性がありました。
しかし、ここで初年度産駒がデビューをすると周囲の不安を払拭する活躍を見せます。
初年度の2019年生まれは、中央競馬で77頭が出走し35頭が勝ち上がりを見せたのです。
これは割合にして45%となり、かなり優秀な数字です。
例えばドゥラメンテの初年度産駒は同じ条件で38%の勝ち上がりですから、
それを超える数字となっています。
さらに重賞戦線でも活躍馬を輩出します。
東京スポーツ杯2歳ステークスではイクイノックスが優勝し、2歳の重賞を制したのです。
キタサンブラック自身のデビューが3歳の1月だったこともあり、
産駒も2歳戦からの活躍は難しいのではないかと見られていました。
それにも関わらず2歳から産駒が勝ち上がり、重賞まで制したことで周囲は色めき立ちます。

翌年2022年には種付け料を再び500万円へと戻しましたが
種付け頭数は177頭と、これまでの数字を大きく超える人気となりました。
そしてこの2022年シーズンには、産駒も大きく飛躍します。
イクイノックスが皐月賞とダービーを2着となり
さらに天皇賞(秋)、有馬記念と制し年度代表馬に選出されました。
他にもガイアフォースがセントライト記念を制し、父子制覇を成し遂げました。
初年度産駒から年度代表馬を出すという離れ業を見せたキタサンブラックは
2023年シーズンの種付け料が一気に倍の1000万円に設定されました。
それでもすぐに満口となっており、キタサンブラックの人気が急上昇していることが分かります。
そして2023年シーズンもこの人気を裏切らない活躍を産駒が見せています。
まずはイクイノックスがドバイシーマクラシックを制し、世界ランキングで1位のレーティングを叩き出すと
皐月賞では2年目の産駒となるソールオリエンスが見事勝利します。
さらに桜花賞ではリバティアイランドにこそ敗れたもののコナコーストが2着に入り
ダービートライアルの青葉賞ではスキルヴィングが強い競馬を見せて快勝しました。
そしてオークスではコナコーストに加えてアルテミスステークスを制したラヴェルと、
フラワーカップ2着のヒップホップソウルが出走し、
ダービーではソールオリエンスとスキルヴィングが出走します。
2世代目で生まれた馬は82頭ですが、
その中からクラシック戦線に乗る馬が5頭現れたというのは相当な確率です。
このままいけば来年の種付け料は、1500万円から2000万円ほどになると考えられます。
現在の日本一の種付け料の馬は、1800万円のエピファネイアですから
これに並ぶか超える可能性も出てきています。
また、この勢いならば将来的にリーディングサイアーも狙えるポジションにいます。
3世代目は種付け頭数が落ち込んだ時期ということもあり、
生まれたのが55頭、4世代目も72頭ですから他の種牡馬より数が少なく不利となっています。
しかし5世代目以降は100頭を超えてくるため
5年後にはリーディングサイアーを獲得しても不思議はありません。
ディープインパクトがいなくなり、種牡馬の世界は群雄割拠の時代となっています。
そうした中で風穴を開け、トップに君臨するのはキタサンブラックなのかもしれません。
一時は種付け料や種付け頭数の減少に苦しんでいたキタサンブラックでしたが、
産駒の活躍により大逆転を見せたのです。
そんなキタサンブラックの産駒は芝の中長距離で活躍しているイメージがありますが
実は他のカテゴリーでもかなりの活躍を見せています。
キタサンブラック産駒の好走条件
キタサンブラック産駒が好走する舞台、それはダートです。
多くの馬が現状芝を走っており、ダートでのサンプル数はあまり多くないのですが
例えばダート1200mでは勝率が19.2%もあります。
さらに全体で見ても勝率、複勝率、単勝回収率、複勝回収率のいずれも
芝よりもダートの方が上となっています。
キタサンブラックの芝距離別成績
馬場・距離 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
芝1200m | 7-12-5-38 | 11.3% | 30.6% | 38.7% |
芝1400m | 7-4-2-26 | 17.9% | 28.2% | 33.3% |
芝1500m | 0-0-1-2 | 0.0% | 0.0% | 33.3% |
芝1600m | 16-13-6-77 | 14.3% | 25.9% | 31.3% |
芝1800m | 16-7-7-66 | 16.7% | 24.0% | 31.3% |
芝2000m | 17-19-15-129 | 9.4% | 20.0% | 28.3% |
芝2200m | 4-0-2-21 | 14.8% | 14.8% | 22.2% |
芝2400m | 1-1-4-17 | 4.3% | 8.7% | 26.1% |
芝2500m | 1-0-0-0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
芝2600m | 2-0-1-4 | 28.6% | 28.6% | 42.9% |
芝3000m | 0-0-0-1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
キタサンブラックのダート距離別成績
馬場・距離 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
ダート1000m | 1-0-0-5 | 16.7% | 16.7% | 16.7% |
ダート1150m | 0-0-0-2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
ダート1200m | 5-2-2-17 | 19.2% | 26.9% | 34.6% |
ダート1400m | 3-2-4-24 | 9.1% | 15.2% | 27.3% |
ダート1600m | 2-2-3-7 | 14.3% | 28.6% | 50.0% |
ダート1700m | 4-0-3-18 | 16.0% | 16.0% | 28.0% |
ダート1800m | 11-9-10-53 | 13.3% | 24.1% | 36.1% |
ダート1900m | 2-0-2-7 | 18.2% | 18.2% | 36.4% |
ダート2000m | 0-1-1-3 | 0.0% | 20.0% | 40.0% |
ダート2100m | 3-0-1-2 | 50.0% | 50.0% | 66.7% |
ダート2400m | 1-0-0-2 | 33.3% | 33.3% | 33.3% |
あまりダートというイメージがないため、オッズもつきやすいのかもしれませんね。
ダートのオープン馬としてもウィルソンテソーロやマリオロード、オディロンといった馬がおり
今後これらが重賞を勝つようになるとダートでも注目が集まってきそうです。
こうした芝とダートの両方を走れるというのは生産者や馬主にとっても非常に魅力的です。
クラシックを狙うことができ、もし実力がそこまで伴わなかったとしても
地方を含めたダート路線でも期待することができるからです。
そうした点ではダートでの成績が芝と比較してかなり落ちてしまう
ディープインパクト産駒よりも魅力的だと思う方もいそうですね。
そうなると今年のセレクトセールではかなりの高額で取引されるようになりそうで
どこまで価格が上がるか注目したいところです。
ただ、注意しておきたいのは当然のことではありますが
全ての馬が走るという訳ではないことです。
キタサンブラック産駒の高額馬の今

最後に少しネガティブなものとなってしまうのですが、
当然キタサンブラック産駒とはいえ全部が走る訳ではありません。
特に高額で取引された馬があまり活躍を見せていません。
キタサンブラック産駒で1億円以上の価格で取引された馬は全部で3頭います。
最も高かったのはマラコスタムブラダの2020で、税抜1億9000万円で落札されました。
この馬は母がアルゼンチンのG1を勝った馬で、姉にレシステンシアがいます。
落札後はジャスティンボルトという競走馬名を付けられましたが、
現在のところ3戦してまだ勝つことはできていません。
さらに1億6000万円で落札されたドナブリーニの2019、競走馬名メトセラは
3歳未勝利こそ勝ちましたが、その後成績が伸び悩み現在は園田競馬へと移籍しています。
また、1億1000万円で落札されたフリーティングスピリットの2020、競走馬名シュバルツガイストは
2023年1月に初勝利をあげましたが6戦1勝という成績となっています。
このように高く評価された馬が走っておらず、血統面や馬体面だけでは活躍が見極めづらいというのが
キタサンブラック産駒の特徴なのかもしれません。
それでもこれほどまでに活躍馬を出していることから、
今後取引価格はさらに上昇することは間違いありません。
そして種付け料が上がったことから、より質の高い繁殖牝馬が集まってくるはずで
そうなるとイクイノックスやソールオリエンスを超えるような馬が出てきてもおかしくありません。
キタサンブラックには明るい未来が待っていそうです。
ディープインパクトの次に頂点に立ちそうな馬が、
ディープインパクトの兄であるブラックタイドから出てきたというのも、なにか運命を感じさせますね。