社台でほぼデアリングタクトな馬が誕生&一口馬主で募集!社台ファームの狙いとは

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無敗で牝馬三冠を達成したデアリングタクト。

日高町の小さな牧場で生まれた同馬ですが
実は社台ファームから生まれてきてもおかしくない馬でした。

そんな牝馬三冠馬を後少しで逃してしまった社台グループは、
ほぼデアリングタクトとも言える馬を生産していました。

果たして二匹目のドジョウはいるのでしょうか。

今回はそんなデアリングタクトをめぐる状況について見ていこうと思います。

社台で生まれてもおかしくなかったデアリングタクト

デアリングタクトは父エピファネイア、母デアリングバード、母父キングカメハメハという血統です。

母のデアリングバードは2011年5月9日に社台ファームで生まれました。

そして1歳になると社台サラブレッドクラブで総額3600万円、一口90万円で募集にかけられました。

さらにその母であるデアリングハートも社台サラブレッドクラブで募集されていたという生粋の社台血統でした。

ただ、デアリングバードは競走馬としては大成せず
3歳の7月に未勝利戦でデビューをすると4番人気の9着と敗れそのまま引退します。

引退後は父キングカメハメハ、母父サンデーサイレンスという血統が評価されてか繁殖入りをしますが、
優れた競走成績の馬が並ぶ社台ファームの繁殖馬の中に入ることはできませんでした。

また、デアリングハートにとって初仔だったということもあり
今後も同じような後継の繁殖牝馬は出てくると見込まれていたものと思われます。

そのため引退した2014年にはジェイエス繁殖牝馬セールへと上場され
そこで日高町の長谷川牧場さんが388万8000円でデアリングバードを落札します。

このセールでの最高落札額はボディーダンシングの2430万円ではあったものの
受胎していない繁殖牝馬の平均落札価格は139万8600円であったことから
そこまで悪い落札額ではありませんでした。

落札した長谷川牧場は約30年ほど前からサラブレッドの生産を始め、
牧場主と母親とパート2名の4人で営む小さな牧場です。

そこにやってきたデアリングバードは初年度のサウスヴィグラスとの子を2016年に産みますが
競走馬にはなっていません。

そしてその次に種付けをしたのが当時新種牡馬としてスタッドインしたばかりのエピファネイアでした。

現在エピファネイアの種付け料は1800万円に高騰していますが、当時はまだ250万円でした。

そんなエピファネイアと種付けをして2017年に生まれたのが、デアリングタクトでした。

長谷川牧場で生まれたデアリングタクト

この年に長谷川牧場で生まれた馬はわずか5頭で、
その中から無敗の牝馬三冠馬が誕生するのですから競馬はわかりませんね。

そんなデアリングタクトは0歳の時にセールに出されたものの買い手がつかず
1歳の時のセレクトセールで税抜1200万円で落札されました。

このセールの平均落札価格は約4600万円だったことを考えるとかなり低い評価だったことが分かります。

ちなみにこの時の最高落札価格はキングスローズの2017、競走馬名ダノンレガーロで2億5000万円にものぼっています。

同じエピファネイア産駒の牝馬でもメジロシャレードの2017、競走馬名ルトロヴァイユが5200万円で落札されています。

こうした低評価を覆し、その後無敗での牝馬三冠を達成したことは皆さんご存知の通りです。

このように競走馬として花開かなかったデアリングバードが社台から離れた後に
デアリングタクトという名馬を輩出したことは社台にとって大きな損失でした。

特に秋華賞でデアリングタクトの2着となったマジックキャッスルは社台ファームで生産され
社台サラブレッドクラブで募集された馬です。

つまり手放した馬の子によって、自分たちの馬が敗れてしまったということになります。

このような悔しい思いをした社台ファームは、
第二のデアリングタクトを生み出すべく動き出しました。

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ほぼデアリングタクトのような馬が生まれる

ほぼデアリングタクト

社台ファームが考えたのは、ほぼデアリングタクトと同じ配合を作ることでした。

幸いなことに社台ファームにはデアリングバードの母であるデアリングハートが残っていました。

そしてその子、つまりデアリングバードの全妹にあたるデアリングエッジは
社台ファームで供用されていました。

このデアリングエッジとエピファネイアを配合することによって
血統表の上ではほぼデアリングタクトと同じ馬を出そうというのが彼らの狙いでした。

このデアリングエッジは繁殖入りした2018年にはストロングリターン、
2019年にはダンカークと種付けをしています。

ただ、2020年にデアリングタクトが大活躍すると、その年に早速エピファネイアをつけました。

さらに2021年もエピファネイアと種付けをし、
血統表で見ればデアリングタクトとほぼ同じ配合を実現しました。

違うのは母親の名前くらいで、それ以外はすべてが同じです。

残念ながらと言うべきなのか、生まれた2頭は全て牡馬ではありますが
逆に言えばこれで種牡馬となればエピファネイアの血が更に広がっていくことになりそうです。

2020年に種付けをして2021年に生まれた子は、
その後セレクトセールに上場し1億1500万円で落札されました。

競走馬名はアスクアメージモアに決まっており、今年デビューを予定しています。

果たしてデアリングタクトのような活躍ができるのでしょうか。

また、その1つ下の牡馬は今年の社台サラブレッドクラブの募集馬に入っています。

まだ価格や厩舎などは発表されていませんが、兄の落札価格を考えると
8000万円程度になってきそうです。

デアリングタクトはノルマンディーオーナーズクラブで1760万円にて募集されており、
それと比較をすると何倍かにはなりますが、それでも出資をしたい方は多いはずで
人気となりそうです。

社台グループが強いのは、こうした活躍すると見込まれる血統については
すぐに試してみるという柔軟さも理由としてありますね。

繁殖牝馬の頭数が多いからこそできる実験ですが、
そういった体制を作ってきたのですから努力の賜物と言えそうです。

2022年にはジャスタウェイと種付けをしているので、一旦この2頭で様子を見ようということなのかもしれませんが
もしこのほぼデアリングタクトといえる2頭が活躍をしたらこのファミリーとエピファネイアとは黄金配合となりそうですね。

ちなみにDMMバヌーシーのエターナルハートという牝馬も父がキングカメハメハで
デアリングバードやデアリングエッジの全妹です。

こちらも2022年に引退をした後、2023年にはエピファネイアと種付けをしたそうです。

DMMバヌーシーでもデアリングタクト配合

さらにデアリングバードには、デアリングタクトの後にも3頭の父エピファネイアの子が生まれています。

今のところは目立った結果をあげた馬はいませんがこれらは全て牝馬のため、繁殖牝馬として期待できそうです。

エピファネイアの種付け料はすでに1800万円にもなっていることから
気軽に試すことはできなくなっていますが、こうした取り組みの結果がどうなるのかは興味が出てきますね。

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