モレイラ騎手が再び日本にやってくる!引退説はどうなった?短期免許で夏から騎乗へ

その神業のような騎乗技術から「マジックマン」の愛称で知られるジョアン・モレイラ騎手。
過去には日本の通年免許取得の受験をしたことでも話題になりました。
そんな彼が今年、5年ぶりに日本で短期免許を取得することが分かりました。
昨年には引退するとの報道もありましたが、現在その辺りはどうなっているのでしょうか。
今回はそんなジョアン・モレイラ騎手のこれまでと今後について見ていきたいと思います。
数々の日本馬を勝利に導いたモレイラ騎手

モレイラ騎手は1983年9月26日生まれの39歳です。
ブラジルに生まれると、お父さんを早くに亡くしたことから
小さいうちから工場で働いていたそうです。
そうした中で彼は競馬の騎手を志し、14歳で騎手学校へ入学します。
そして18歳となる2001年に、見習い騎手としてデビューしました。
そして2003年に正式な騎手となると、
ブラジルや南アフリカを中心に活躍し1,000勝以上の勝利をあげます。
2009年からは拠点をシンガポールへと移し、
翌年から2013年までは4年連続でリーディングジョッキーに輝きました。
特に2012年には206勝をあげ、シンガポール競馬の年間勝利記録を更新しました。
さらに2013年9月6日には騎乗した8鞍すべてで勝利を果たし
現地メディアは「マジック モレイラ」と評しました。
ここからモレイラ騎手には「マジックマン」の愛称がつくようになりました。
そして2013年からは香港に拠点を移すと、そこでも彼は大活躍します。
2014年シーズンには香港の年間勝利記録を更新し、
そこから3シーズン連続でリーディングジョッキーとなります。
このように各国で圧倒的な成績をあげてきたモレイラ騎手が
日本に初めてやってきたのは2014年のことです。
安田記念で香港のグロリアスデイズに騎乗するため来日しました。
するとこのレースで13番人気で6着に入ったことで、彼の腕は日本でも注目を集めます。
さらにモレイラ騎手は翌年の2015年には第一回ワールドオールスタージョッキーズに参戦すると
見事優勝を果たし、世界一の称号を得ます。
この時は他のレースも含めて2日間で合計20レースに騎乗し、7勝、2着4回という成績を残し
日本のファンや関係者を驚かせました。
そして2016年にはJRAの短期免許を取得し、本格的に日本で騎乗するようになります。
この短期免許の期間には騎乗機会7連勝というJRA最多タイ記録を達成しており、
日本でも多くの勝利を飾りました。
また5月には香港へやってきたモーリスに騎乗し、
チャンピオンズマイルを勝利するなど日本との縁を深めていきます。
さらに2018年には7月から12月まで断続的に短期免許を取得すると、
日本で数多くの重賞を制します。
特に11月にはJRA史上最速となる294戦目での100勝を達成し、
同じ日にエリザベス女王杯でリスグラシューに騎乗して初G1制覇を飾るという快挙を成し遂げました。
そんな日本でも圧倒的な腕を見せたモレイラ騎手は、
この2018年に日本の通年免許を取得しようとした過去があります。
日本の騎手になろうとしたモレイラ騎手

モレイラ騎手はシンガポール、香港の次にJRAでの騎手になろうと通年免許の試験を受験したことがありました。
彼は以前から日本の競馬環境を絶賛しており、
その明るい性格から日本人のスタッフとも良好な関係を築いていました。
そのため日本で本格的にやっていくことを決意しての受験でした。
ファンや関係者もこれまでの活躍から、
受験をすれば合格するだろうと考えていました。
しかし現実は甘くありませんでした。
モレイラ騎手は一次試験で残念ながら不合格となってしまいました。
一部では合格すれば他の騎手への影響が大きすぎるからという声もあがりましたが
その真相は定かではありません。
ちなみにこの年に騎手経験者の合格は、藤井勘一郎騎手のみでした。
こうして不合格となってしまったモレイラ騎手は、再び香港を拠点に騎乗していき
翌年以降日本で短期免許を取得することもなくなりました。
そんなモレイラ騎手に動きがあったのが2022年11月のことでした。
突然、香港ジョッキークラブに免許を返納したのです。
引退が囁かれたモレイラ騎手

モレイラ騎手が免許を返納したのは、コロナ禍とケガが影響しています。
モレイラ騎手は近年股関節のケガに悩まされていました。
そしてそれとコロナが重なり、家族とあまりコミュニケーションがとれなくなったことで
精神的なストレスが溜まってしまったようです。
実際6月に家族はブラジルへ帰国してしまい、
モレイラ騎手もケガの治療も兼ねて9月に帰国していました。
さらに免許返納の際には、これまでの感謝の気持ちを込めて、
日本を含めた様々な国へ騎乗していきたいと語っており
このことからモレイラ騎手はこの1年のうちに引退をするのではという憶測が広がっていました。
そうした中でも3ヶ月の休養により体調が回復したのか
年末の香港国際競走では3頭の日本馬に騎乗し、
その変わらぬ腕前を披露しました。
また、今年2023年には2月のフェブラリーステークスで、
カナダのシャールズスパイトに騎乗するため4年2ヶ月振りに日本で騎乗を果たします。
そしてさらに今年の夏、そして秋のG1シーズンに短期免許を取得する意向であることが明かされました。
日本での再びの活躍に期待したい

夏の短期免許では主に札幌で騎乗をする予定で、
秋については具体的には決まっていませんが、来日するとなれば多くの有力馬に騎乗することとなりそうです。
また、この発表にあたって引退説についても「そんな話はない」と完全に否定し
来年以降も日本で短期免許を取得して来日することまで言及しました。
前回の短期免許での来日時には身元引受調教師が美浦の堀宣行師で、
身元引受馬主は吉田和子さんでした。
堀厩舎の馬を見てみると、有力馬としては
カフェファラオ、ヒシイグアス、ダノンベルーガ、タスティエーラなどがいます。
また、吉田和子さんは社台ファーム創業者である吉田善哉さんの奥さんでしたが
2022年に100歳で亡くなっています。
そのためその息子である吉田照哉氏、
もしくは吉田勝己氏が身元引受馬主となるものと考えられます。
身元引受調教師が堀氏、身元引受馬主が吉田勝己氏となる場合は
現在短期免許を取得しているレーン騎手と同じ組み合わせとなり、
現在レーン騎手が騎乗している有力馬たちをモレイラ騎手が乗っていくということになりそうです。
具体的にはセリフォスもしくはソダシでのマイルチャンピオンシップ、コナコーストの秋華賞、
カフェファラオのチャンピオンズカップなどでの騎乗が考えられます。
また、1983年生まれというと吉田隼人騎手らと同い年となります。
1つ下が田辺裕信騎手、2つ下が川田将雅騎手ということを考えれば
今がまさに充実期とも言えそうです。
またルメール騎手が日本に移籍したのは35歳の時です。
それを思えば再びモレイラ騎手が日本の通年免許の受験をしても不思議はありません。
股関節の状態が心配ではありますが、今年のサウジアラビアやドバイでの騎乗を見れば
そこまで心配はいらなさそうです。
今後、再びマジックマンの活躍が日本で見られそうですね。
ぜひファンが驚くような騎乗を見せてもらいたいと思います。