今週スタートのJRA2歳新馬戦は大注目!ボンドガールやチェルヴィニアなど注目馬が沢山!

ダービーが終わり、次のダービーへ向けた新馬戦がJRAでもスタートします。
その最初の週となる新馬戦には毎年、クラシックなどのG1戦線で活躍する馬が登場してきます。
そして今年も来年のクラシックに向けて注目すべき馬が何頭か出てきています。
そこで今回は、今週の新馬戦での注目馬、
そしてなぜ最初の新馬戦にG1級の馬が出走するのかについて見ていこうと思います。
いきなり2億円超えの馬が登場
まず最大の注目は6月4日の東京芝1600mで開催される牝馬限定の新馬戦です。
ここに登場してくるのは、取引価格2億3100万円のボンドガールです。

ボンドガールは父ダイワメジャー、母コーステッドという血統で、
2021年1月19日に生まれました。
ダイワメジャー、さらに牝馬でここまでの価格となるのは珍しく
それほど馬体面で優れた部分を持つ馬だということでしょう。
もちろん血統もかなり良いものを持っています。
母のコーステッドは2016年のブリーダーズカップ・ジュベナイルフィリーズターフで2着となった実績があり、
ハーツクライを父に持つ兄は、これまで天皇賞(秋)3着、ドバイターフ2着の実績を持つダノンベルーガです。
落札者はサイバーエージェントの社長を務める藤田晋氏で、
管理は手塚貴久厩舎となっています。
父ダイワメジャーということで早期からの活躍が期待されており、
その期待通りに新馬戦のスタート週からのデビューとなりました。
手塚調教師は過去にこの馬で桜花賞を狙いたいと発言しており、
デビューから早期に賞金を積み重ね、桜花賞へ余裕を持ったローテーションを組んでいこうと考えていそうです。
まずここを勝てば、年末の阪神ジュベナイルフィリーズが目標となるでしょうから、
今のうちにそのパフォーマンスをチェックしておいた方が良い一頭と言えそうです。
鞍上もレーン騎手を確保しており、万全の体制で臨みます。
またこの新馬戦には、もう一頭良血馬が登場します。
それがチェルヴィニアです。

チェルヴィニアは父ハービンジャー、母チェッキーノという血統で
2021年2月3日に生まれました。
母のチェッキーノは現役時代に2016年のG2フローラステークスを制し、
オークスでも2着と好走しました。
また、初年度産駒となるノッキングポイントはG3毎日杯で2着に入り
先日の日本ダービーでもタスティエーラから0.2秒差の5着と健闘しています。
ノッキングポイントの父モーリスは古馬になってから活躍する馬を多く出しており
そうした中で早期からG1戦線で活躍できているのは、母の血によるものだと考えられます。
そこから父がハービンジャーに替わり、より早期からの活躍に期待できる血統となったことから
クラシック制覇も期待したい逸材です。
こちらは血統的にもオークスに向いているはずで、
芝1600mという舞台がどうか分かりませんが、来年に向けて今のうちに1つ勝っておきたいところです。
鞍上はルメール騎手を予定しています。
ちなみに兄のノッキングポイントも昨年に初日の芝1600mで勝利しており、
チェルヴィニアは翌日の牝馬限定戦となりますが、
兄と妹による2年連続での最初の週での勝利となるかにも注目が集まります。
他にも6月3日の東京芝1600mの新馬戦にはブルーメンブラットの子であるシュトラウスが
レーン騎手で出走を予定しており、
6月4日の東京芝1400mの新馬戦には、
2歳戦から活躍するアルーリングアクトの母系を持つアルーリングタイムが出走を予定しています。

これらの馬がどのようなレースを見せるのか、今から楽しみですね。
このように最初の週の新馬戦から走るような馬は、
どうしても早熟でその後の成長力に期待できないと考えてしまい勝ちですが、近年はそんなことはありません。
最初の週に新馬戦を走って、その後も活躍しG1馬になったというケースも多く見られます。
Expand All最初の週の新馬戦に出て、その後活躍した馬たち

こうした最初の週の新馬戦でデビューした馬が活躍するようになったのは、2017年頃からです。
2017年の最初の種に行われた新馬戦は4つありますが、
その内の2つの勝ち馬が後にG1ホースとなっています。
まず一頭はケイアイノーテックです。

ケイアイノーテックは新馬戦を先行し、最後は2馬身突き放す競馬を見せて勝利すると、
その後、翌年のNHKマイルカップに駒を進め、見事勝利しました。
そこからは勝つことができませんでしたが、2021年にオーストラリアへと移籍し、
現在は現地で種牡馬として活躍しています。
また、そのケイアイノーテックが新馬戦を勝った次の日に勝利したのが、ステルヴィオです。

ステルヴィオは新馬戦を勝つと年末には朝日杯フューチュリティステークスに出走し2着となります。
さらに翌年のマイルチャンピオンシップでは古馬相手に勝利を飾りました。
こちらも現在は種牡馬となり、今シーズンから種付けをスタートしています。
そして次の年の2018年にはグランアレグリアが東京芝1600mの新馬戦を勝利します。

彼女はそこから快進撃を続け、最終的にはG1を6勝する大活躍を見せました。
また、この年はもう1つの新馬戦でジョディーが勝利しています。
ジョディーはその後重賞で3着に2回入り、
米国遠征をした際にはベルモントオークスで4着に健闘しました。
さらに2019年の新馬戦では、まず阪神でリアアメリアが勝利をしています。

リアアメリアは続くG3アルテミスステークスを勝利し、翌年にはG2ローズステークスも勝ちました。
そして翌日の東京芝1600mの新馬戦ではサリオスが勝利し、
その後3連勝で朝日杯フューチュリティステークスを制しました。
この年はさらに阪神芝1400mの新馬戦でタイセイビジョンが勝利し、
その後G2京王杯2歳ステークスを制覇。
年末の朝日杯フューチュリティステークスではサリオスの2着となります。
さらに翌年のG3アーリントンカップに勝つといった活躍を見せました。
こうした新馬戦が開始された週の馬の活躍はまだ続きます。
2020年は、東京芝1600mでサトノレイナスが勝利しました。

サトノレイナスは年末の阪神ジュベナイルフィリーズ、そして翌年の桜花賞で2着に入ると
オークスではなく日本ダービーへと挑戦しました。
そこでは2番人気の支持されるも、5着に敗れましたが牡馬相手に健闘しています。
このような活躍は新馬戦を勝った馬だけではありません。
2021年6月6日に開催された新馬戦で2着に入ったスタニングローズは
翌年のオークスで2着になると秋華賞を制しました。

そして昨年の2022年はノッキングポイントが勝利し、
ダービー5着とG1戦線で健闘しています。

少し長くなりましたが、このように毎年のようにその年最初の週に開催される新馬戦からは
翌年のクラシックなどG1戦線で活躍する馬が出てきています。
では、なぜこのように活躍馬が出て来やすいのでしょうか。
なぜ最初の週の新馬戦からはG1馬が出やすい?

その理由の1つは、能力が高い馬だからこそ早期から勝ち負けができるという点です。
本来であれば成長途上ではあるものの、
能力の高さから新馬戦でも勝ち負けできるレベルになっているため
陣営が早期のデビューを決断したというケースです。
そしてなぜ早期のデビューを陣営が考えるかというと、
それは早期に賞金を積むことで来年のクラシックに余裕を持たせられるからです。
最近クラシック戦線に挑む馬は、前走から数ヶ月空けて挑むということが多くなってきました。
これにはいくつかの理由があるのですが、G1のようなレースは体力を消耗しやすいため
レースの間隔を空けて余力をもたせた状態で戦うという考えが根底にあります。
ただそれを実現させるには、その前に出走できるだけの賞金を稼いでおかなくてはなりません。
そのため2歳の早い内にデビューさせ、オープンや重賞を走らせることで
賞金を稼いでおくというのが重要となります。
こうした近年の方針により、有力馬のデビューが早まっていると考えられるのです。
そうした意味では今年も新馬戦に出走する馬の中からG1戦線で活躍する馬が出てくる可能性は高く、
競馬ファンとしては見逃せない戦いとなりそうですね。