2022年の凱旋門賞では日本ダービー馬ドウデュースや、
現役最強馬タイトルホルダーなどが注目を集めています。
しかし、そうした中で注目したいのがステイフーリッシュです。
成績では見落とししますが、実は勝算があるようなのです。
今回はそんなステイフーリッシュの凱旋門賞勝利の可能性について探っていきたいと思います。
海外遠征にめっぽう強いステイフーリッシュ

ステイフーリッシュは2015年生まれの7歳牡馬で、
3歳のころにG2・京都新聞杯を勝利しています。
しかし国内での重賞勝利はそれだけで、他には重賞で2着5回、3着7回と惜しい競馬が続いてきました。
いつも好位を追走し、良いところまではいくものの他馬の切れ味に敗れてしまうのです。
こうした成績だけを考えれば、とても凱旋門賞へ挑戦する馬のようには思えません。
そうした中、転機が訪れます。
2022年2月にサウジアラビアへ海外遠征をすると
レッドシー ターフハンデで8番人気ながら見事に勝利を収めたのです。
これにより3歳の京都新聞杯以来となる約4年振りの勝利を果たすと、
さらに3月のドバイゴールドカップでも見事に勝利をし、海外重賞を2連勝を成し遂げました。
日本競馬ではスピード競馬に対応できなかった馬が、
スタミナ勝負に持ち込んだことにより海外で花開いた瞬間でした。
こうした国内でなかなか勝てずに海外で圧倒的な強さを見せる馬というと、
あのステイゴールドを思い起こす方も多いのではないでしょうか。
ステイゴールドも国内では2着3着が非常に多くG1を一度も勝てずにいました。
しかしドバイシーマクラシックで、当時世界トップクラスの馬だったファンタスティックライトに勝利すると、
年末の香港ヴァーズでは、今も語り草になる豪脚を見せて勝利しました。
そんなステイゴールドですが、実はステイフーリッシュの父親でもあります。
ステイフーリッシュの海外での強さはまさに父ステイゴールド譲りなのです。
このような特徴を受け継いでいること、そしてステイゴールド産駒の凱旋門賞への
相性の良さから、国内ではG2を1つ勝っただけながら挑戦をすることとなりました。
実際、ステイゴールド産駒はこれまで凱旋門賞でかなり相性の良い面を見せてきたのです。
Expand Allステイゴールドの血が騒ぐ

歴代の日本馬で凱旋門賞を2着となった馬はこれまで3頭いますが、その内の2頭がステイゴールド産駒です。
つまりステイゴールドの血と凱旋門賞との相性は非常に良いと言えるのです。
そのためステイゴールド産駒で凱旋門賞制覇といきたいのですが、
しかしステイゴールドはすでに亡くなっており、現役馬の中で最も若いのがステイフーリッシュと同じ7歳馬となっています。
ステイゴールド産駒の現役オープン馬としてはマイネルファンロンやクレッシェンドラヴ、さらにはオジュウチョウサンなどもいますが、
凱旋門賞で勝負になる可能性があり、挑戦に積極的な陣営となるとステイフーリッシュしかいない計算となります。
そのため恐らく今回の挑戦が、ステイゴールド産駒最後の戦いとなるはずです。
ナカヤマフェスタ、そしてオルフェーヴルといったステイゴールド産駒の先輩に続き
ステイフーリッシュもそれに並ぶか、それ以上の結果を残してもらいたいものです。
ゴールドシップのように気性面で実力を出せないということにならないかという点は心配ですが、
現在のところそのような面は見せておらず、実力はきっちりと出してくれそうです。
しかし、そうした中で一つ懸念があります。
そもそもステイフーリッシュには本当に勝つだけの実力があるのかという点です。
前哨戦も2着となり、本番への視界も良好?

ステイフーリッシュは8月14日に出国しフランスへ行くと、8月28日に前哨戦であるドーヴィル大賞典へと出走しました。
そこでは果敢に先頭を切って逃げると、最後もしぶとく粘って2着となりました。
勝利したボタニクはG1こそ勝利していませんが、今年これで5戦4勝2着1回と勢いに乗る一頭でした。
ステイフーリッシュは残念ながら敗れてしまったものの、海外では3戦して2勝、2着1回といまだに連対を外していません。
負けてしまったことは残念ですが、ヨーロッパへの遠征初戦としてはまずまずの成績を残したと言えるでしょう。
今後はフォワ賞にも登録をしており、もう一戦挟んで凱旋門賞へ行くのか
それともフォワ賞は抜かしてこのまま凱旋門賞へと進むこととなります。
管理している矢作調教師は「負けてはいけないメンバー」だったとしながらも
「休み明けで7、8割のデキだった」とも語っていることから
本番にはしっかりと仕上げられてくるはずです。
ステイフーリッシュの勝算

前哨戦を2着としたものの、ステイフーリッシュは凱旋門賞を2着となったナカヤマフェスタ、オルフェーヴルと比較すると
どうしても成績面で見劣りをします。
ナカヤマフェスタは宝塚記念を制していますし、オルフェーヴルは言わずと知れた三冠馬です。
それと比較するとステイフーリッシュはG2を1勝しただけの存在です。
それでも期待をしたい理由は、ステイフーリッシュの持つスタミナです。
海外遠征で結果を残したレースは、レッドシー ターフハンデが3000m、ドバイゴールドカップが3200mという距離でした。
特にレッドシー ターフハンデでは60kgの斤量を背負って勝利をしています。
つまりステイフーリッシュには無尽蔵とも言えるスタミナが備わっているのです。
矢作調教師も「凱旋門賞を勝つにはスタミナが必要で、彼はスタミナ十分」と語っており、
ステイフーリッシュのスタミナに期待しています。
凱旋門賞はヨーロッパの重い馬場で、アップダウンもあるため日本の競馬よりも体力を消耗してしまいます。
そのため体力勝負となるケースが多くなります。
そこに日本の競馬では切れ味に屈して2着、3着が多くなってしまっていたステイフーリッシュが走れば
十分に勝機があると考えられるのです。
また、ステイフーリッシュを管理している人物が、矢作調教師という点もプラスポイントです。
矢作調教師は昨年にマルシュロレーヌで日本馬初のブリーダーズカップ制覇を成し遂げており、
馬ごとの適正を見極め、大きなレースを勝たせてきた名伯楽です。
今回の凱旋門賞挑戦も、ステイフーリッシュの適正も十分に見極めた上での決断であると考えられ、
ただレースに出走させるだけではなく勝利まで見据えたものだと推測できるのです。
本番では恐らくタイトルホルダーが逃げ、ドウデュースが後ろから追い込んでくることが想定されます。
ステイフーリッシュはその間で好位を追走することで、日本競馬史上初の快挙を成し遂げてほしいと思います。
8月24日時点でステイフーリッシュの単勝オッズは65倍前後となっています。
他の馬たちと比較すると人気は低いですが、それを見返す活躍をしてほしいものです。
凱旋門賞本番は2022年10月2日

凱旋門賞本番は10月2日です。
その間にもう一戦挟むのか、回避するのかは分かりませんが
ステイフーリッシュが万全の状態で凱旋門賞へと挑むことは間違いありません。
ステイゴールド産駒の悲願、そして日本競馬の悲願をぜひ達成してもらいたいものですね。