顕彰馬にアーモンドアイが選出もコントレイルが落選!顕彰馬の仕組みがおかしい?

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今年は異常事態が発生!?2023年度顕彰馬の選定結果を見てみる

2023年6月6日、アーモンドアイが競馬の殿堂入りを意味する
JRA顕彰馬に選定されました。

しかし一方で何頭かの名馬は選考から漏れてしまいました。

また通常では考えられないトラブルも発生しました。

この顕彰馬とはどのような仕組みで決められているのでしょうか。
そして今年の選定はどのようなものだったのでしょうか。

今回はそんな顕彰馬の仕組みと今年の結果について詳しく見ていこうと思います。

顕彰馬の仕組み

まずは簡単に顕彰馬が選定される仕組みについて見ていきましょう。

顕彰馬は中央競馬の発展に特に貢献があった馬について、
その功績をたたえるために設けられました。

選定された顕彰馬は、ブロンズ像や肖像画が作られ、
東京競馬場内のJRA競馬博物館に展示されます。

元々は日本中央競馬会30周年記念事業として昭和59年に制度が発足し、
そこから平成11年までは顕彰馬選考委員会の審議により選定されてきました。

ただ、これでは透明性が損なわれるといった意見もあり、
現在は毎年報道関係者による選定投票を行い、
4分の3以上の得票を得れば選定されるという仕組みになっています。

この報道関係者は主に競馬関連の記者で、今年は207名が参加しました。

つまり4分の3以上の得票となる156票以上が集まれば顕彰馬に選定されます。

記者は1人あたり最大で4頭に投票することができるというルールになっているため
年度によっては複数の顕彰馬が選定されることもあります。

また、選定対象馬にも一定のルールがあります。

3月31日を起算日として競走馬登録抹消1年以上経過し、
20年以内の馬が対象となります。

例えばコントレイルは2021年12月4日に競走馬登録を抹消しましたので
翌年の2022年3月31日を起算日とします。

そして起算日から1年以上が経過したため
今年の選定対象馬となりました。

この20年ルールは、
2003年に選定の対象馬となったテイエムオペラオーが落選したことにより設けられました。

テイエムオペラオーは古馬中距離G1完全制覇、当時史上最多タイのG1・7勝、
獲得賞金額が当時世界最高といった数々の記録を打ち立てており
過去の顕彰馬と比較しても遜色ない馬でした。

それにも関わらず落選となったのは、タケシバオーなど過去の名馬に投票する記者がおり
その結果票が分散してしまったからでした。

この落選を受けてJRAのホームページには抗議が殺到しました。

そして翌年、競走馬登録を抹消して20年以上経つ馬は投票対象から外れることとなったのです。

このルールにより、起算日から20年が経過したステイゴールドとクロフネは今年から対象外となっています。

こうしたことを踏まえて、今年の結果を見てみましょう。

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今年の顕彰馬投票の結果

まず今年の大きなトピックは、なんといってもアーモンドアイの顕彰馬への選定です。

アーモンドアイは207名の記者のうち200票を集め、96.6%の得票率を得ました。

これによりアーモンドアイは顕彰馬として登録されることとなります。

そして次に得票数が多かったのは、今年選定対象となったコントレイルです。

コントレイルは現役時代にクラシック三冠を達成しており、
一度も馬券内を外したことがないという堅実さもありました。

これまで三冠を制した馬はすべて顕彰馬として選定されているため
初年度からの顕彰馬となることが期待されていました。

しかしフタを開けてみると155票となり、わずか1票足らずに落選となってしまいました。

これによりコントレイルの顕彰馬への選定は来年以降となってしまいます。

そして3番目に投票が多かったのがキングカメハメハです。

136票、得票率65.7%を集めました。

キングカメハメハはこれまでも毎年の様に投票を集めているのですが、
なかなか顕彰馬となる75%以上の得票率を集めることができていません。

キングカメハメハが競走馬登録を抹消したのは2004年10月のことですから、
選定対象でいられるのは2025年までとなります。

つまり残り2年のうちに顕彰馬に選定されないと
落選ということになります。

確かにキングカメハメハの競走成績を見ると
G1勝利はNHKマイルカップと日本ダービーの2つだけです。

ただ、顕彰馬の選定には「中央競馬の発展に特に貢献した馬」という基準があるため
決して競走成績だけではありません。

種牡馬としてキングカメハメハは、先に顕彰馬に選定されているロードカナロアや、
レイデオロホッコータルマエドゥラメンテなど多くの種牡馬として活躍する馬を輩出しました。

その勢力は現在非常に大きいものとなっており、中央競馬の発展に特に貢献した馬だと言えます。

昨年は71.3%の得票率だったため、今年は少し落としてしまっていますが
何とか残り2年のうちに顕彰馬となてもらいたいところですね。

同じ様に競走馬として以上に繁殖実績が後押ししそうなのがシーザリオです。

シーザリオは現役時代に日米のオークスを制したことでも話題となりましたが、
繁殖に上がってからの活躍にはすさまじいものがありました。

エピファネイアリオンディーズサートゥルナーリアという3頭のG1馬を輩出し、
現在それぞれが人気種牡馬となっています。

特にエピファネイアからはエフフォーリアやデアリングタクトが出ており、
その枝葉を着実に広げています。

そうしたことも認められてか、シーザリオも毎年のように票が複数入っています。

ただ今年は得票率4.8%と伸び悩み、選定対象となるのは2026年までなので
顕彰馬に選定されるのは少し厳しいかもしれません。

また、4位以降ではブエナビスタモーリスグランアレグリアゴールドシップなどが
10%以上の得票率を得ています。

アーモンドアイが抜けたことでこれらの馬にも来年投票が増えるかもしれませんが、
急がないと今度はイクイノックスリバティアイランドなどが引退して
選定対象に入ってきます。

そうしたことを考えると、単に競走成績や繁殖実績だけでなく
時の運にも左右されることが結構ありそうですね。

ちなみに今年の投票ではアクシデントもありました。

当初JRAのホームページで発表されていた得票数一覧には、
ステイゴールドが3票入っていたのです。

先程ご紹介したように、ステイゴールドは今年から対象外となる馬でした。

それにも関わらず3名の記者がステイゴールドに投票していたこととなります。

後にJRAが【対象外の馬の記載があったため、「得票数一覧」を差し替えいたしました。】として
ステイゴールドを表から削除しましたが、
恐らく投票自体はされていたのでしょう。

1名がミスをしたということならまだ理解はできますが、
3名もの記者がステイゴールドに投票したというのは由々しき事態です。

特に今年はコントレイルが1票差だったことを考えれば、
この3票がいかに重要なものだったかが分かります。

今後選定の仕組みは変えるべき?

こうしたステイゴールドの件もそうですが、
そもそも今年選定されたアーモンドアイに関しても、対象初年度となる昨年は落選していました。

アーモンドアイはG1を9勝し、その中には牝馬三冠、ジャパンカップでの世界レコードなどが含まれており
テイエムオペラオーと同様に顕彰馬に値することは誰もが認識している馬でした。

それでも選定初年度に落選をしたというのは、
現行の選定の仕方に問題があるような気がしてなりません。

そういった意味でも今後この顕彰馬を選定する仕組みは
もう少し改善が必要となるかもしれませんね。

ではどうすればいいのかというと、中々難しいところがありますが
記者だけでなくファン投票による票も一部加えるなどはどうでしょうか。

ファンの投票枠として30票ほど持ち、
ファン投票の数に応じて各馬に配分していくようにすれば、
恐らくコントレイルは今年顕彰馬になったでしょうし、
得票率70%前後で惜しくも落選した馬も、当選する可能性が出てきます。

すべてをファン投票にすると、それはそれで偏りが出てきそうなので
記者とファンの両方が参加するようにするという考えです。

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