荒尾競馬場の備品がオークションに!謎の品も出品される

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2011年に閉鎖された荒尾競馬場。

1928年2月20日に開設されて以来
83年に渡って競馬を開催していた場所でした。

そんな荒尾競馬場が来月に、競馬場内にあった備品を
官公庁オークションで売却することが決まりました。

中にはかなり貴重なものや、市でも用途が確実には分からないものなどもあり
盛り上がりそうなオークションとなっています。

今回はそんな荒尾競馬の歴史とオークションに出品されるものたちについて見ていこうと思います。

炭鉱の従業員で賑わった荒尾競馬場

まずは簡単に荒尾競馬場の歴史について見ていきましょう。

荒尾競馬場は熊本県荒尾市に存在していた競馬場です。

一周ダート1200mのコースがあり、
天気の良い日には有明海や雲仙岳が見えるなど
非常に景色も良い場所でした。

またパドックの出走掲示板はチョークを用いた手書きで、
レトロ感があふれるものでした。

このあたりは元々三池炭鉱の万田坑という大規模な炭鉱がありました。

そしてその炭鉱で働く従業員の人々をメインターゲットとして開設されたのが荒尾競馬場でした。

他にもこの炭鉱の近くにはボートレースやオートレース、競輪場などがあり
いかに炭鉱で働く人々が休日や仕事終わりに娯楽を楽しんでいたのかが分かります。

しかし1951年に閉坑となると、それらの人々がいなくなり
次第に荒尾競馬場への来場者も減少していきます。

こうした状況から、荒尾競馬では早くから合理化や売上確保などの施策を進めていきます。

また、競馬場施設を自前で所有し、土地も3分の2が市有地ということもあり
年間の費用負担があまり発生しないという強みも持っていました。

そのため各地方競馬が赤字に陥る1990年代においても1997年までは
なんとか黒字を出し持ちこたえていました。

しかし1998年度に約6億円の単年度赤字を出してからは赤字が慢性化してしまい、
運営環境が悪化していきます。

2005年には単年で1億3200万円の赤字まで圧縮したものの、
累積赤字は2008年時点で13億6000万円にものぼりました。

これをなんとかするため、2007年の後期からは
最下級条件のレースを全国最低水準の賞金にし、
出走手当も従来の5万円から6万円ほどだったものを
2010年8月から一律で1万5000円を削減するといった対処をしました。

しかしこうした施策を進めた結果、所属馬が他の競馬場へ移籍するなどしてしまい
2009年時点で310頭ほどしか所属馬がいないという状況になってしまいました。

これによりレースの出走頭数を確保することが難しくなり、
岩手競馬やホッカイドウ競馬から競走馬を出してもらうといったこともありました。

このようになんとかコストを削減しつつ継続への道を模索してきた荒尾競馬場でしたが
2011年8月25日、ついに荒尾市は本年度限りで廃止する方針を固めました。

そして2011年12月23日の競馬開催を持って廃止されることとなってしまいました。

地方競馬の売上は2012年が最低で、そこからインターネット投票の普及により
徐々に売上を回復していきます。

そして今では過去最高の売上を記録する競馬場も少なくありません。

それらを考えればあと何年か頑張れば荒尾競馬場の売上も
回復していたかもしれません。

そう考えるととても残念ですね。

こうして廃止された後は、場外馬券場としてJRAや地方競馬の馬券を発売していましたが、
2022年6月に場外馬券場は移転し、2023年3月に解体されました。

そのためもう今は荒尾競馬場の在りし日の姿を見ることはできません。

今回オークションに出品されるのは、この解体の時に出てきたものだと考えられ
荒尾競馬場の思い出として非常に貴重なものとなっています。

では、実際にどのようなものが出品されているのでしょうか。

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オークションで出品されるものたち

まず目玉の1つとなりそうなのが、
荒尾競馬場のパドックに掲げられていた、所属騎手たちの勝負服パネルです。

これはおそらくどの勝負服がどの騎手なのかをわかりやすくするためのもので、
廃止時点で所属していた14人の騎手の勝負服パネルと、1枚の荒尾競馬場のロゴが入ったパネルが出品されています。

中には荒尾競馬廃止後に佐賀競馬に移籍し2021年に引退をした岩永千明騎手や
荒尾競馬廃止のタイミングで騎手を引退し、現在は園田競馬場で調教師をしている尾林幸彦騎手のパネルなどがあります。

さらには廃止時に掲げられていた「荒尾けいばを83年間ご愛顧いただき ありがとうございました。」と書かれた
縦150cm、横492cmという巨大な横断幕なども出品されています。

落札しても置き場所に困るかもしれませんが、
当時の思い出が蘇ってくる一品です。

他にも打抜機と呼ばれる用紙に穴文字を打ち抜く機械や
「馬券等を印刷していたと思われる印刷機」と紹介されている荒尾市の方でも今や用途が完全には分からない
謎の印刷機なども出品されています。

そうした中で一番人気となっているのが
日本ダービーの写真です。

第45回のサクラショウリ、第47回のオペックホース、第50回のミスターシービー、第52回のシリウスシンボリの
日本ダービー優勝時のレース写真が額に入って出品されています。

出品時の説明によると「備品整理に伴い見つかったものであり、所有していた経緯等は不明です」とのことで
なぜ荒尾競馬で日本ダービーの写真があったのかは謎です。

それでもやはり過去のダービーの写真となればほしいという人が多いようで、
すでに100人近くの方が参加申し込みをしているようです。

サイズは縦37cm、横44cmということでかなり大きな写真となっています。

荒尾競馬の出品オークションでこの写真が一番人気というのも複雑ではありますが、
こうした機会にしっかりと放出してくれるのは、
後世にこの記念の写真を残すという意味でもありがたいですね。

このように今回の荒尾競馬場での出品はバラエティに富んだものとなっています。

競馬場が廃止、解体されたからこそ出てくるものたちばかりなので、
もしほしいという方は参加してみてはいかがでしょうか。

オークション自体は8月14日からなのですが、
実はその前に必要なエントリーの期日はもうすぐとなっています。

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