JRA3歳未勝利馬は終了後どうなる?地方移籍や格上挑戦など過酷な運命を辿る馬たち

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今年もJRAでの3歳未勝利戦が終了しました。

これにより3歳で一度も勝利をあげることができなかった馬は、
今後未勝利クラスのレースに出走することが叶わなくなります。

こうなった時彼らは今後どうなるのでしょうか。

今回はそんな3歳未勝利組の行方について見ていきたいと思います。

JRA3歳未勝利馬の行先は

JRAで未勝利に終わった3歳馬の今後にはいくつかのパターンがあります。

その中でも最も多いのが、地方競馬への移籍です。

JRAでは出走するレースがなくなっても、地方競馬では出走することのできるレースがあります。

そのため基本的には、これまでの成績から自分の実力にあったクラスに所属できる競馬場へと移籍することになります。

中央競馬の獲得賞金については地方により色々と定義があり、
そうしたルールの中で一番良い条件で出走できそうなところに行くのが一般的です。

例えば高知競馬ではJRAの賞金は、1着から5着にまで入った馬に支払われる本賞金のみを30%にして格付けを決定します。

一方で南関東では本賞金が総額500万円以下の場合はその全額、
500万円以上の場合は、超える分を60%にした金額をもとに格付けを決定します。

このように各地方競馬において色々と条件が変わるため
どこでなら花が開くのかを考えるのが移籍時には重要となります。

そのため実際にはオーナーの住んでいる地域やコネクションのある競馬場へ行くことが多かったりもします。

そしてこの地方への移籍にも2つのパターンがあります。

1つめは、再び中央へ戻ることを前提とした移籍です。

かつて中央に在籍していて地方へ移籍した馬の場合、
3歳時には2勝、4歳時には3勝すれば中央競馬において1勝クラスの馬として転入することができます。

そのため本来であれば1勝クラス以上で活躍できるポテンシャルを持つ馬が
ケガや成長の遅さなどにより未勝利戦を勝つことができなかった場合
この再転入を目指して地方競馬へ移籍することがあります。

中にはこうしたケースで後に重賞を勝つような馬もいます。

例えばダンシングプリンスは中央競馬で3歳の8月にデビューをすると
2着、11着という成績で3歳未勝利を終えました。

しかしそこから船橋競馬へと移籍すると、3連勝をして4歳時に再びJRAへと戻ってきました。

そしてJRAに復帰してからも3連勝でオープン入りを果たし、
その後にはJBCスプリントを制するまでに成長していきました。

他にはマジンプロスパーも中央時代に4戦して未勝利で、名古屋へ移籍すると
3戦2勝という成績を残して再びJRAへ転入してきました。

転入後は徐々に成長していき、最終的にはCBC賞を連覇するなどの活躍を見せました。

このように未勝利戦を勝てなかったからと言って、決してその後に活躍ができないという訳ではありません。

そうした高いポテンシャルを発揮できずに未勝利となった馬は
再び中央へと戻ることを前提に地方へと移籍します。

ただ、こうしたポテンシャルの高さはないと判断されて地方競馬へと移籍するパターンもあります。

その場合も基本的に移籍の方法などに変更はないのですが、
できるかぎり馬の実力に見合った場所で、コンスタントに出走していくこととなります。

またこの場合はサラブレッドオークションなどで売却されて、
新しいオーナーのもとで地方競馬に行くこともよくあります。

そのため8月末から9月にかけてのサラブレッドオークションでは
多くの3歳未勝利馬が出品されています。

そしてこうした上のクラスでの活躍が望めない馬は、
とにかくコンスタントに出走していくことが求められます。

なぜなら地方競馬の賞金額は、以前よりは上がったとは言え
下級クラスではまだまだ厳しいものがあるからです。

例えば岩手競馬のC2クラスの1着賞金は35万円で、5着は2.5万円となります。

これがJRAの未勝利戦であれば1着賞金が550万円で、5着でも55万円ということを考えれば
いかにJRAと地方とで賞金格差があるのかが分かります。

このような状況では1着賞金を積み上げていってもたかが知れていますし、
強い相手と走り体力を消耗させてしまうよりは
とにかく今のクラスで出走回数を重ねて出走手当を稼いだ方がお得となります。

例えば浦和競馬で言えば、
埼玉県馬主会に入会している馬主の方が、浦和在厩馬を浦和競馬に所属する騎手を乗せて浦和競馬場で走らせると
馬主会から出走奨励金が4万円、着外補助金が2万円、浦和騎手騎乗奨励金が1万円支給されます。

さらに浦和競馬組合からは出走馬奨励金が7万円、

在厩馬報奨金が3万円、着外手当が4万円、騎乗技術向上奨励金が5000円支給されます。

これらを合計すると、1回走らせて着外になってもそれだけで21万5000円が入ってきます。

南関東の預託料の目安は月30万円ほどですので、
1ヶ月に2回走るとそれだけでプラスになります。

南関東でそれだけコンスタントに走るのは難しいですが、
他の地方であればそうして出走手当により預託料を稼ぐという手段をとるケースもよく目にします。

こうして3歳未勝利で地方へ移籍し、そこで頑張る馬の多くは
自らの預託料を稼ぐために出走回数を重ねていくこととなります。

それでもやはりJRAから来た馬ということで、
周囲とはレベルが違い最初の数戦は圧勝するというケースもあり、
その時は、自分の実力に合ったクラスにまで昇級していくことになります。

このようにJRA未勝利馬は基本的には地方へ移籍することになるのですが、
中には地方競馬へ移籍をしないという決断をくだす陣営もいます。

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3歳未勝利馬が地方へ移籍しないケース

まずは中央競馬での挑戦を続けるケースです。

3歳の未勝利戦は終わってしまっているので、
こうした馬は1勝クラスへの格上挑戦をすることとなります。

ただ、未勝利馬の身分ですので
出走予定馬が多くなると真っ先に除外されてしまいます。

そのためフルゲート割れとなるレースにしか出走できず、
予定を立てにくいというデメリットがあります。

また、そうしたフルゲート割れとなるレースは
芝の長距離レースやローカル開催のレースが多くなります。

つまり血統面や走りから明らかに芝が向いていて、
こうしたデメリットがあってでも挑戦させたいという馬の陣営がこのような格上挑戦をしていくことになります。

そして中にはこうした挑戦が実を結ぶケースもあります。

昨年で言えばシャウビンダーという馬はデビューから7戦して未勝利に終わりましたが、
8戦目には1勝クラスに挑戦し見事優勝しました。

この時は単勝102.5倍の最低人気でしたが、それを覆しての勝利でした。

また、少しケースは異なりますが
ディープインパクトの姉であるレディブロンドはデビューしたのが5歳と遅く
当然未勝利戦は終わっていたので格上挑戦、それも1000万下となりました。

しかしそこから一気に5連勝でオープン入りし、デビューから4ヶ月後にはG1スプリンターズステークスに出走しました。

これは非常に珍しいケースですが、格上挑戦をしてもやっていけると陣営が判断した馬が
このように中央に在籍したまま初勝利を目指していきます。

そして、こうした中央在籍や地方移籍のどちらもしないケースもあります。

その1つが繁殖として牧場へ帰るケースです。

特に血統面の評価が高い牝馬に多く、
このまま現役を続けるよりも繁殖にあげて子が活躍することに賭けた方が良いという判断です。

また、ケガにより現役続行が不可能となった牝馬にもこうした繁殖入りのケースが見られます。

最近ではサトノクレアという3歳牝馬が、歩様が悪化したことで現役続行を断念しました。

父ロードカナロア、母父ディープインパクトという良血で、
繁殖牝馬としてサラブレッドオークションで103万円で落札されています。

そしてこうした繁殖にあがれなかった馬や、牡馬については乗馬などになっていきます。

乗馬行きに関しては色々と厳しい部分があるのですが、
本当に乗馬クラブなどに行った場合には調教を積まれ、しばらく乗馬として活躍していくことになります。

このあたりはいずれ触れていこうかと思いますが、今回はこのあたりにしておきます。

このように中央競馬において未勝利のまま終わった馬は
地方競馬へ行くか、中央競馬で格上挑戦をするか、
もしくは現役を諦めて繁殖や乗馬などに行くかという進路になります。

いずれにせよ各馬にとって良い選択となってほしいですね。

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