牝馬三冠を制した6頭とは。スターズオンアースは7頭目の快挙なるか

牝馬三冠を制した馬たち

中央競馬において牝馬三冠を達成した馬は全部で6頭います。

彼女たちは一体どのようにして牝馬三冠を成し遂げたのでしょうか。

今回はそんな牡馬の三冠馬よりも貴重な牝馬三冠馬たちについてご紹介します。

メジロラモーヌ

中央競馬史上初めての牝馬三冠を成し遂げたのがメジロラモーヌです。

1983年に父モガミ、母メジロヒリュウという血統で生まれました。

デビュー戦は1985年10月13日、東京競馬場の3歳新馬でした。

ダートの1400mでしたが小島太騎手が騎乗し、
2着に3秒1もの大差をつけて圧勝します。

その後は6戦目の桜花賞トライアルの報知杯4歳牝馬特別を勝利し、本番の桜花賞を1番人気で迎えます。

レース当日は単勝1.6倍の圧倒的1番人気に支持され、最終コーナーで最後方にまで下がるも
直線で一気の追い込みを見せて勝利します。

さらに二冠目のオークスでは単勝1.8倍の1番人気で、スタートこそ出遅れたものの
最終コーナーで先頭に立ち、そのまま押し切りました。

この強さから騎乗した河内騎手は「テスコガビーを超えたと思う。本当に強い馬やな」と、当時史上最強の牝馬と目されていた
テスコガビーをあげて最大級の褒め言葉を述べました。

そんなメジロラモーヌはオークス後はメジロ牧場で放牧され、
ローズステークスで復帰すると、そこでも勝利をあげて最後の一冠となるエリザベス女王杯へと臨みます。

単勝は1.3倍と、史上初の牝馬三冠に期待するファンが多く支持しました。

レースでは先行集団で進み、最後の直線を迎える頃に抜け出して先頭に立ちます。

そこにスーパーショットが追い込んできたものの、クビ差しのぎ見事牝馬三冠を達成します。

メジロラモーヌはこの勝利によりトライアル競走も含めて全て勝利したことから「完全三冠」とも言われており、
さらに獲得賞金が牝馬として初めて3億円を突破しました。

まさに歴史に名を刻む名牝となったのでした。

引退後は繁殖牝馬となり、ひ孫のグローリーヴェイズが香港ヴァーズを勝利しています。

スティルインラブ

スティルインラブは、2003年の牝馬三冠を達成しました。

父は大種牡馬サンデーサイレンス、母のブラダマンテはロベルトの直仔で、
1996年ラジオたんぱ賞勝ちのビッグバイアモンなど10頭以上の産駒を中央に送り出しました。

そんな両親から2000年に生まれたスティルインラブは後の天皇賞馬・ヘヴンリーロマンスも出走していたデビュー戦を快勝。

さらにシーイズトウショウなど強豪ぞろいの紅梅Sも勝利し順調にクラシック戦線に進んでいきます。

チューリップ賞こそオースミハルカの後塵を拝し2着でしたが、桜花賞は超良血馬アドマイヤグルーヴと人気を分け合います。

レースではライバルのアドマイヤグルーヴが出遅れるのを尻目にスタートを決めて好位をキープし、
直線の真ん中を伸びシーイズトウショウを退けて勝利。

まず一冠目を手に入れます。

迎えた二冠目のオークスでは、前走の敗因が明らかなアドマイヤグルーヴにまたもや人気の面では譲ることになります。

レースはまたしても出遅れてしまったアドマイヤグルーヴと対照的に好位に付けるという、桜花賞の再現のようなスタートでした。

道中はトーセンリリーが淡々と逃げる中、中団で脚を溜め直線は外に出し抜け出しを図るチューニーを差し切り二冠目を奪取します。

秋初戦のローズSでは単勝1.9倍に支持されますが、22キロ増が影響したかアドマイヤグルーヴに完敗の5着に終わってしまいます。

これが影響してか秋華賞では三度アドマイヤグルーヴに1番人気を譲ります。

そして始まった秋華賞ではお互いそこそこのスタートを切り、両馬中団からのレース運びとなります。

逃げる人気薄のマイネサマンサが粘り込むようなペースでしたが、アドマイヤグルーヴより早めに動いたスティルインラブが前を捕らえ、見事三冠を制覇します。

三冠ともに人気面はライバルに明け渡しましたが、それを結果で覆して見せたという意味でも印象深い名馬といえます。

その後は勝ち星を挙げられず、2005年の府中牝馬S[ステークス17着を最後に引退・繁殖入りします。

しかし、7歳時に病気を起こしてしまいわずか1頭の産駒を残したのみで亡くなってしまいました。

その1頭も牡馬だったため、現在その血は途絶えてしまっています。

アパパネ

アパパネは、父キングカメハメハ、母ソルティビットという血統で2007年に生まれました。

新馬戦こそ3着に敗れたものの、東京で未勝利・赤松賞を連勝しその勢いのまま阪神ジュベナイルフィリーズも優勝します。

その際、母ソルティビッドと同じく美浦トレセンに所属しながらも
阪神ジュベナイルフィリーズの出走1ヶ月前から栗東で調整を行う、いわゆる栗東留学を行っていたのは有名な話です。

翌年も栗東留学を敢行しチューリップ賞2着で始動後、1冠目の桜花賞に臨みます。

ゲート入りが悪かったもののまずまずのスタートで5番手につけ、若干口を割るシーンも見せましたが直線外に出すとグングンと加速をしていきます。

そして内一杯に粘るオウケンサクラを捕らえて一冠目を手に入れます。

それと同時に鞍上・蛯名正義騎手に桜花賞初勝利を、国枝栄調教師にはクラシック競走初勝利をプレゼントしました。

特に国枝調教師は栗東留学の第一人者ともいわれており、その努力が最高の結果となって報われた瞬間ともなりました。

桜花賞の後は美浦に戻り調整がすすめられ、本番のオークスへ臨む事になります。

元々馬体重増減の激しい馬でしたが当日発表のマイナス10キロかつ距離不安などもありましたが、3.8倍の1番人気に支持されます。

そしてレースではニーマルオトメが引っ張る稍重馬場にしては早めの流れで、アパパネは道中中団で脚を溜めます。

直線に入るとアグネスワルツや先に抜け出そうとするサンテミリオンを追い、
火の出るような追い比べの末、結果はサンテミリオンとの同着での1着となりました。

G1での同着はこれが史上初で、レース後にはアパパネに騎乗した蛯名正義騎手とサンテミリオン鞍上の横山典弘騎手のダブルインタビューが行われました。

秋は再度の栗東留学をしそのままローズSで始動します。

しかしここは24キロの馬体増が影響してかアニメイトバイオの4着に敗れてしまいます。

その後は栗東にとどまり順調に調整を進め、最後の関門となる秋華賞に駒をすすめます。

ここでは調整の順調さや、蛯名騎手の自信のコメントなどから2.1倍の1番人気でレースを迎えます。

またもゲート入りはよくなかったものの飛び出しは抜群で、道中は中団に構えます。

オークス3着のアグネスワルツが飛ばす中、外々を回り続け直線に入ると切れ味が炸裂します。

さらに後ろから追い込むアニメイトバイオを退け見事三冠を達成します。

これにより史上3頭目の快挙を成し遂げ、ほぼ満票で同年のJRA最優秀3歳牝馬に選出され、年度代表馬の選考も2位の票数を獲得しました。

その後もアパパネは2011年ヴィクトリアマイルを制するなど活躍し、2012年安田記念を最後に繁殖入りします。

繁殖入りしてからも秋華賞を勝ったアカイトリノムスメを出すなどの活躍をしています。

ジェンティルドンナ

ジェンティルドンナは父ディープインパクト、母ドナブリーニという血統で2009年に生まれました。

名前の由来はイタリア語で「貴婦人」という意味を持ちます。
姉のドナウブルーも後に重賞二勝の成績を収めた良血馬でした。

牝馬三冠の一冠目となる桜花賞では岩田康誠騎手を背に、ヴィルシーナとの叩き合いを制し勝利します。

続くオークスではコンビを組んでいた岩田康誠騎手が騎乗停止となったことで
鞍上が川田将雅騎手に乗り替わり、かつ距離延長の不安要素もありましたが、終わってみれば五馬身差の圧勝でした。
二着にはヴィルシーナが続き、ジェンティルドンナは牝馬二冠を達成しました。

秋になり前哨戦のローズステークスを快勝すると、牝馬三冠を目指して秋華賞に臨みます。

鞍上には岩田康誠騎手が戻り、万全な体制となりました。

秋華賞の舞台となる京都2000mは最後の直線が短く、4コーナーでまだ中団に位置していたジェンティルドンナでしたが残り200mで末脚が炸裂します。

そして前を走っていたライバルのヴィルシーナとの壮絶な叩き合いとなり、二頭ほぼ同時にゴールに入線します。

長い写真判定が行われ、最終的にハナ差でジェンティルドンナが1着となりました。

これによりジェンティルドンナはアパパネ以来、史上4頭目の牝馬三冠を達成しました。

さらに父のディープインパクトとともに日本競馬初となる親子でのクラシック三冠達成という大偉業を成し遂げました。

この牝馬三冠の裏ではヴィルシーナがすべて2着となっており、もしジェンティルドンナがいなければ、彼女が牝馬三冠を達成していたのかもしれません。

ジェンティルドンナはその後も海外のG1を勝つなどG1を7勝します。

そして引退後は繁殖にあがり、3番仔のジェラルディーナは重賞で2着になるなどの活躍を見せています。

アーモンドアイ

アーモンドアイは父ロードカナロア、母フサイチパンドラという血統で2015年に生まれました。

新馬戦こそ2着に敗れたものの、その後は連勝でシンザン記念を勝利して桜花賞へ挑みます。

桜花賞では無敗の2歳女王ラッキーライラックが1番人気で、アーモンドアイは2番人気となりました。

レースではラッキーライラックが好スタートから3番手につけると、アーモンドアイは後方15番手で様子を伺います。

最後の直線に入りラスト200mでラッキーライラックが先頭に立ちますが、大外からアーモンドアイが末脚を炸裂させます。

そしてラッキーライラックに1.3/4馬身差をつけて快勝します。

この時のタイムは先輩牝馬3冠アパパネが記録したタイムを0.2秒上回るレコードとなりました。

桜花賞で強さを見せつけると、続くオークスでは1.7倍の1番人気に支持されます。

レースではアーモンドアイは6、7番手を進み、最後の直線になると残り300mあたりで先頭に立ちます。

そしてそのまま押し切り、2着のリリーノーブルに2馬身差をつけ見事二冠を達成します。

アーモンドアイは父が短距離馬のロードカナロアだったことから距離が不安視されていましたが、
見事その不安を払拭するような快勝でした。

また、母のフサイチパンドラはこのレース2着に敗れており、母の無念を晴らす勝利でもありました。

こうして二冠を手にしたアーモンドアイは夏を休むと、直接最後の一冠となる秋華賞へと挑みます。

当日はテンションが高くゲートの中でも落ち着かない様子を見せていました。

レースでは11番手という後方からのレースとなりますが、
4コーナーで大外を回ると、一気にスパートをかけます。

そしてそのまま加速し、逃げるミッキーチャームを捉えて優勝します。

これによりアーモンドアイは見事5頭目の牝馬三冠馬となりました。

その後もアーモンドアイは勝利を重ね、史上最多の芝G1・9勝という大偉業を成し遂げました。

デアリングタクト

デアリングタクトは父エピファネイア、母デアリングバードという血統で2017年に生まれました。

生産の長谷川牧場は、北海道日高町で夫婦ふたりが営む小さな牧場です。

そんな牧場で生まれ、セレクトセールの当歳馬セールに出品されましたが
800万円でも買い手がつかず、主取りとなりました。

その1年後、セレクトセールの1歳馬セールで1200万円で落札されます。

その後2歳11月でデビューすると、新馬戦、エルフィンSと連勝し
4月の桜花賞へと駒をすすめます。

ここでは2歳チャンピオンのレシステンシアが1番人気に支持され、デアリングタクトは単勝4.2倍の2番人気でした。

レース当時は雨の中12番手辺りを進み、直線を向くと大外から脚を伸ばし
2頭で競り合うレシステンシアとスマイルカナを交わし、最後は1.1/2馬身差をつけて快勝します。

デビューから3戦目での桜花賞制覇はキャリア最少タイ記録でした。

続くオークスでは単勝1.6倍に支持され、ここも12番手付近で道中進むと
最後の直線で馬群を割って抜け出します。

そして前にいるウインマリリンを交わして優勝します。

これにより無敗での牝馬二冠制覇となり、これは1957年のミスオンワード以来の快挙となりました。

レース後は放牧に出て英気を養うと、陣営は秋華賞へ直行することを決断します。

秋華賞当日、単勝1.4倍の圧倒的支持を得たデアリングタクトは
スタートで少し出遅れ13番付近で道中を進みます。

そこから徐々にポジションを押し上げていき、最終コーナーを5番手で回ると
ぐんぐんと脚を伸ばし残り100mあたりで先頭に立ちます。

そしてそのまま押し切り、デアリングタクトは見事無敗での三冠を達成しました。

無敗での牝馬三冠達成は史上初のことで、NHKのニュースでも「歴史的偉業」と讃えられました。

その後はジャパンカップで3着と初めての敗戦を経験し、翌年には繋靱帯炎を発症するも1年後に復帰。

現在も現役で活躍をしています。

次の牝馬三冠馬はどんな馬になるのか

牝馬は牡馬と比較して成績が安定しないと言われています。

そうした中でもクラシック三冠を全て1着となるのは、相当な実力がないとできません。

この偉業を成し遂げた5頭は様々困難がありならがも見事達成した、紛れもない名馬です。

ここ最近は比較的短い間に誕生しましたが、次の牝馬三冠馬は10年後、20年後となっても不思議ではありません。

2022年はスターズオンアースが秋華賞に挑みますので、どのような結果になるか楽しみにしたいですね。

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