JRAが大改革を発表!負担重量が重くなり、障害競走の見習い制度も変わる【2023年以降の変更点まとめ】

JRAが大改革!競馬が変わりそう

JRAは世界で戦える馬づくりのため、毎年改革を進めています。

そうした中、彼らは来年度からの競馬において大きな改革案を発表しました。

今回はそんなJRAが発表した内容を元に、競馬が今後どう変わるのかを見ていこうと思います。

騎手の負担重量が重くなる

まず今回の改定で最も大きいのは、馬の負担重量の変化です。

簡単に言えば、今後JRAでは負担重量が増えることになります。

たとえばこれまで競馬で一番軽い負担重量は平地オープン競走での48キロでしたが、これが49キロとなります。

そしてそれ以外の競走で49キロだった最低負担重量も50キロと1キロ増加します。

それ以外にはこれまで54キロだった2歳、3歳牝馬の負担重量も55キロに、
牡馬およびせん馬についても2歳9月まで55キロ、2歳10月から12月まで56キロ、3歳は57キロと全体的に1キロ増加しています。

この変更についてJRAは「騎手の健康と福祉および将来にわたる騎手の優秀な人材確保の観点」からだとしています。

つまり減量に苦しみ健康を害する騎手がいるため、そのようなことがないように負担重量の下限を引き上げたということです。

48キロから49キロと1キロだけ変わっても意味があるのかと思われるかもしれませんが
限界まで減量をしている騎手にとってこの1キロはかなり大きな差となるようです。

また、負担重量が重くなれば、これまで体重制限によって騎手になれなかったような人も今後はJRAで騎手になる道も生まれてきます。

世界に通用するような騎手人材が入ってこれるように間口を広げたいという考えもありそうです。

ただ、こうして負担重量を重くすると心配なのは馬の故障です。

過去にはテンポイントが66.5キロの斤量を背負い、故障し予後不良となってしまいました。

そこから過度に重い斤量はやめようという動きが広がっていったのです。

今回はそこまで大きな斤量増ではないため心配はいらないのかもしれませんが、
今後もしかすると故障発生率を軽減するために芝のクッション値ももう少し柔らかくなるように変えてくるかもしれませんね。

そうなればヨーロッパの馬場に少し近づくこととなり、日本馬による凱旋門賞制覇へと近づいていくのかもしれません。

とはいえ、実際は20年前と比較して故障発生率は芝でも半分近くにまで減っているというデータもあります。

そうしたことを考えれば、斤量が増えて馬の負担が大きくなったとしても馬場のプロたちによって馬の安全は確保されそうです。

このように多くのレースに影響を与えそうな斤量を増やす取り組みですが、
JRAの改革は他にもあります。

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障害競走の減量制度を変更

JRAには、見習い騎手や女性騎手を対象として減量制度があります。

そしてそれは平地だけでなく障害レースにおいても同じでした。

免許の通算取得期間が5年未満で100勝未満の騎手は斤量の減量措置がとられていたのです。

しかし、平地競走と障害競走とでは開催数が大きくことなります。

そのため障害競走で100勝となると、それはもう立派な一人前の障害騎手となります。

例えばJRAの障害競走における通算勝利数の10位が145勝ですし
オジュウチョウサンのパートナーとして有名な石神深一騎手も2007年から障害レースに乗り始め、
2022年8月にようやく障害競走で100勝を達成しました。

そうした中、最近では小牧加矢太騎手の様に最初から障害専門の騎手としてデビューする人物も登場しています。

そして小牧加矢太騎手は減量を活かしまたたく間に障害レースで6勝を挙げました。

しかし現状の規定では、障害専門騎手がいくら活躍しても5年間ずっと見習い騎手として減量になる可能性が高いため、
障害騎手の勝利数について見直しがされることとなりました。

具体的には、マイナス3キロとなる条件が平地で30勝以下だったものが、障害競走では10勝以下に、
マイナス2キロの減量措置が平地では31勝50勝以下ですが、障害では11勝以上15勝以下に、
そしてマイナス1キロの減量措置が平地で51勝以上100勝以下だったものが障害では16勝以上20勝以下となりました。

つまり、障害競走では21勝以上すると減量措置がとられることとなったのです。

重賞レースもいくつか変わる

ここまでは騎手の斤量についてご紹介しましたが、他にも大きく変わる点があります。

その1つが秋華賞トライアルである紫苑ステークスのグレードです。

紫苑ステークスはこれまでG3として施行されてきましたが、早ければ来年からG2として開催されます。

こうしたグレードの変更は、日本グレード格付け管理委員会の審査が必要となるのですが、
最近のレースレーティングを見る限りでは問題なくG2へと昇格する見込みです。

例えば今年のレースのレーティングを見ても、すでにG2となっているローズステークスは105でしたが紫苑ステークスはそれを超える106となっています。

今年の紫苑ステークスの覇者であるスタニングローズはそのまま秋華賞も勝利しており、クラシック戦線においても重要度を増しています。

そうした背景や、過去3年間のレースレーティングの平均が国際G2となる基準の106以上を満たしたため、申請を出すことにしたのでしょう。

G2になることで、よりトップレベルの3歳牝馬たちが紫苑ステークスに参戦してくるかもしれませんね。

また、もう1つ変更があった重賞は3歳ダート重賞のユニコーンステークスです。

3歳ダート路線は、地方競馬と提携して三冠路線を創設することが先日発表されています。

これに合わせてユニコーンステークスの開催日を変更するということが発表されました。

こちらは2024年から変更されるのですが、まだ具体的な日程は決まっていません。

6月上旬に開催される東京ダービーの前哨戦にするということですので、恐らく現在の6月中旬から5月中旬へと移動するのではないかと見られます。

2023年4月からついに京都競馬場がオープン

もう1つ大きなニュースとして、京都競馬場の改修が無事完了するメドが立ちました。

4月22日から京都競馬場で競馬が開催されることが決まりました。

2020年11月1日を最後に工事していましたから、約2年半ぶりの開催となります。

目玉となるのは、ゴール側にあるスタンド「グランドスワン」の改築です。

1980年にできたこのスタンドを、今回完全に解体し新たに作り変えました。

7階建てだったスタンドは6階建てとなるものの、各フロアの天井が高くなり、各座席の空間も広くすることで
ゆったりした空間で過ごせるようになっているそうです。

また中央競馬で唯一円形だったパドックも、他の競馬場と同様に楕円形になります。

これによりどこからでもパドックで馬が見やすい環境になります。

このようにJRAでは来年度以降からかなり大きな改革を進めようとしています。

より公平な競馬を目指すJRA

こうした取り組みは、より公平な競馬を目指すJRAらしいものと言えそうです。

騎手の健康面や、騎手になりたい人の間口を広げることで騎手間でもフェアな競争ができるようにという意図がありそうです。

もちろん馬の故障も心配ですから変更後はしっかりと傾向を確認してもらいたいところですね。

他にも紫苑ステークスのグレード昇格や京都競馬場の改修など、新しいことが続々と生まれてきます。

こうした変化を楽しめるのも競馬を長くやっていくことのメリットと言えそうですね。

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