
障害レースで歴史的な偉業を達成したオジュウチョウサン、
そして第83代日本ダービー馬のマカヒキ。
この2頭は年齢を重ねても現役を続行していたことから、いつ引退するのかとファンの間で話題となっていました。
しかしそんな2頭が今年ついに引退することとなったようです。
今回はそんな2頭の軌跡と、引退後どうなるのかについて見ていきたいと思います。
オジュウチョウサンの軌跡とその後

まずはオジュウチョウサンについてです。
オジュウチョウサンは2011年4月3日に北海道の坂東牧場で生まれました。
父ステイゴールド、母シャドウシルエットという血統で、
全兄にはラジイオNIIKEI賞を後に制するケイアイチョウサンがいます。
2歳で平地競走で2戦するも11着、8着に終わりそこから1年の休養を経て障害へと転向します。
しかし障害デビュー戦も見せ場なく最下位の13着に敗れ、
現在の和田正一郎調教師のもとへと転厩します。
すると障害競走4戦目となる2015年2月の障害未勝利戦で初勝利をあげます。
そして徐々に力をつけていったオジュウチョウサンは翌年の2016年に覚醒します。
3月の障害オープン戦を2着となると、続くJ・G1中山グランドジャンプを勝利。
さらにそこから年末の中山大障害などJ・G1,5勝を含む9連勝を達成します。
このことから陣営は平地への再転向を決意し、500万下、1000万下と連勝します。
そして年末には平地では条件馬の状態ながら
ファン投票によりグランプリ、有馬記念へと出走します。
そこでは5番人気に支持されるも9着に敗れてしまいますが、ダービー馬のマカヒキに先着する健闘を見せました。
翌年の2019年には4月に中山グランドジャンプを制すと、10月から再び平地へと挑戦しますが、
今度は3戦して掲示板に入ることができず、2020年からは再度障害レースのみを走っていくこととなります。
そこからはJG1をさらに3勝積み重ね、JG1を9勝という前人未到の記録を作りました。
まさに障害競走における歴代最強馬として君臨しています。
ただ、2022年10月16日に開催された東京ハイジャンプでは9着に敗れてしまいました。
11歳という年齢もあり限界説も唱えられるようになりました。
そうした中、長山オーナーはこの東京ハイジャンプのレース後、日刊スポーツの取材に対して次のように話しました。
「競馬場へ本当にたくさんのファンの方がオジュウを応援に来てくれました。
電車に乗ったら、小さい子がぬいぐるみを手に持っていて、本当に愛されているなと思いました。
クリスマスイブの大障害をオジュウのラストランにしたいと思います」
そして石神深一騎手も年末の中山大障害について
「有終の美と簡単に言えるレースではありません。まずは無事に走ってほしいと思います」と述べています。
ただ、和田調教師は中山大障害をラストランにすることについて「白紙」としており、陣営内でもまだ100%決定ではないようです。
それでも最終的にはオーナーの意見は通るはずですので、オーナーが引退させると決断したのであれば
やはりオジュウチョウサンは今年の年末の中山大障害で引退となるはずです。
最後に中山大障害を制して、JG1・10勝の金字塔を打ち立てられるのか注目したいところです。
また、引退後についてはスポーツ報知の取材に対して長山オーナーが
「種牡馬にしたい要望があればありがたいですし、自分でやる方法もあると思う。
これだけの馬だから血を残してあげたいですからね」とコメントしています。
そのため需要が見込めそうであれば種牡馬入りをしそうな状況です。
現在11歳で、来年には12歳となるため
種牡馬生活はそれほど長くないかもしれませんが、その産駒の中から新たな名馬が生まれてくることを期待したいですね。
もしかすると障害レースでなく、平地のG1馬が出る可能性も考えられます。
オジュウチョウサンの血がどのように広がっていくのか、現役引退後にも注目が集まります。
Expand Allダービー馬マカヒキもついに引退へ

オジュウチョウサンと並んで、長く現役生活を送ってきたのがマカヒキです。
マカヒキはオジュウチョウサンより2年後の2013年1月28日に、北海道のノーザンファームで生まれました。
父ディープインパクト、母ウィキウィキという血統で、全姉のウリウリは京都牝馬ステークスやCBC賞を制しています。
そんなマカヒキはデビュー前から「ただものではない」と高い評価を得ていました。
その評価通り、マカヒキは2015年10月18日にデビューすると単勝1番人気に応えて快勝します。
さらに続く若駒ステークス、弥生賞と制して皐月賞へと進みます。
そこでは伏兵ディーマジェスティに敗れてしまいますが、
続く日本ダービーではサトノダイヤモンドをわずか8センチ差でくだして見事勝利します。
これによりマカヒキは第83代の日本ダービー馬となりました。
その後マカヒキ陣営は凱旋門賞挑戦を表明し、フランスへと渡ります。
そこで前哨戦となるニエル賞をクビ差で勝利し順調な経過をたどりましたが
本番の凱旋門賞では直線で伸びず14着へと大敗してしまいます。
この惨敗から、マカヒキの苦悩が始まります。
日本へ帰国し復帰戦となった翌年の京都記念では単勝1.7倍の人気に支持されますが、サトノクラウンの3着に敗れます。
そしてそこから勝てない日々が続き、2017年から2020年まで15戦を走りますが一度も勝利することができませんでした。
これは全てG1もしくはG2にしか出走しなかったからと言うこともできますが、
凱旋門賞前まではほぼ完璧な成績を残していたことを考えると、フランス遠征で燃え尽きてしまったのかもしれません。
それでも2021年10月には京都大賞典で9番人気ながら見事な差し脚を見せて、アリストテレスをハナ差しのぎ勝利します。
これは2016年のニエル賞以来の勝利となり、この中5年28日という期間は
G1レースを勝利した競走馬のうちで史上最長感覚の勝利記録となりました。
この復活勝利により再び連勝街道へと向かうことができるかと期待されましたが、
残念ながらそこからは4戦しすべてが2ケタ着順という結果になってしまい、2022年8月の札幌記念16着以来出走がありません。
3歳の頃に日本ダービーを制したマカヒキももう9歳となっています。
1世代上のドゥラメンテはすでに産駒が大活躍していますし、1世代下のレイデオロも2023年に初年度産駒がデビューをします。
そうした中でマカヒキはいつまで現役を続けるのかということが注目されていましたが、先日大きな動きがありました。
「競走馬のふるさと案内所」に記載されているレックススタッドの繋養馬一覧に、突如マカヒキの名前が入ったのです。
当時はまだ正式に引退表明、種牡馬入りを発表はされておらず
競走馬登録も抹消されていないため、恐らくフライングで掲載してしまったと考えられます。
そのため「競走馬のふるさと案内所」のホームページからは現在マカヒキの名前が消えてしまいましたが、
内々では種牡馬入りの話がすでに決まっている可能性が高い状況です。
父ディープインパクトの種牡馬は最近競争が激化していますが、
ぜひ自身を超えるような活躍を見せる馬を輩出することを期待したいと思います。
オジュウチョウサンとマカヒキ、両馬ともに競馬界を大きく盛り上げてくれました。
今度は種牡馬として、次の世代にその血をつなげていってほしいですね。