
かつてネオユニヴァースやヴィクトワールピサなどで多くのG1を制してきたミルコ・デムーロ騎手。
しかし最近はかなり厳しいことになっているのをご存知でしょうか。
リーディング順位が下がっているだけでなく、お手馬の乗り替わりなども起きています。
一体なぜこのようになってしまったのでしょうか。
また、復活する可能性はあるのでしょうか。
今回はそんなミルコ・デムーロ騎手の現状と復活の兆しについて見ていきたいと思います。
リーディング順位が年々下降しているミルコ・デムーロ騎手
まずはミルコ・デムーロ騎手の現状について見ていきましょう。
ミルコ・デムーロ騎手は2022年11月5日時点で、
中央競馬で58勝しリーディング順位は16位となっています。
100人以上いる騎手の中で16位ですから、そこまで悪くはない順位だと思いますが
これまでと比較するとあまり良くありません。
日本での通年免許を取得した2015年からの成績で見ていくと
2015年3位、2016年4位、2017年2位、2018年2位、2019年7位、2020年12位、2021年11位、16位
となっているのです。
2018年まで順調にトップ争いをしていましたが、2019年から急に順位を落としはじめています。
この時に何かがあったようです。
そして丁度この時、デムーロ騎手はエージェントを変更しています。
これまでデムーロ騎手のエージェントは「競馬ブック」の井上政行氏でしたが
4月に大谷博毅氏へと変更したのです。
これは井上氏が川田将雅騎手と同じエージェントで、
川田騎手の方に良い馬を優先的に回しているのではないかと考えたためだと言われています。
元々デムーロ騎手は競馬ニホンの豊沢信夫氏にエージェントを依頼していましたが、
2016年10月に井上氏へと変更していました。
これも豊沢氏が抱えていたルメール騎手に優先的に馬を回しているのではと考えたためだとされています。
つまり、自分の騎乗馬の質が少しずつ落ちていることに焦りを覚えエージェントの変更を画策したのだと考えられます。
ちなみに2022年現在は元ダービーニュースの川島康孝氏となっており、色々と模索をしているようです。
ここ数年関東での騎乗が多いのも、なんとか騎乗回数を増やして結果を残したいという気持ちの現れかもしれません。
ただ、こうやって色々と動いたことがアダとなってしまったのか、
周囲からデムーロ騎手を避けるような動きが出てきたようです。
オメガパフュームが乗り替わりに
最近のデムーロ騎手のG1級のお手馬と言えば、オークスを勝利したユーバーレーベンと
東京大賞典4連覇の偉業を成し遂げたオメガパフュームでした。
特にオメガパフュームは東京大賞典4連覇をともに達成した相棒でした。
そんなオメガパフュームは当初昨年末で引退をする予定だったのが、急遽2022年も現役続行が決まります。
この引退撤回が決まった時、デムーロ騎手は「僕はオメガパフュームが大好きで、愛しているから、また乗れることは素直にうれしい」と語っていました。
しかし、無情にもオメガパフューム陣営はデムーロ騎手から横山和生騎手への乗り替わりを選択します。
これは前走の帝王賞でメイショウハリオの3着となったことで、年末の東京大賞典5連覇に暗雲が立ち込めた事によるものだと考えられます。
実際は、昨年も帝王賞で5着に敗れながら東京大賞典では勝利しているのでそこまで悲観するものではないと思われますが
近年のデムーロ騎手の不調により、横山和生騎手が選ばれたようです。
もしかすると、年末の東京大賞典には再びデムーロ騎手に鞍上が戻ってくる可能性もありますが現状は芳しくありません。
長年のパートナーまで失ってしまったデムーロ騎手に残された道はどこにあるのでしょうか。
ラフィアンとのパートナーシップ
最近デムーロ騎手と絆を深めているのは、サラブレッドクラブ・ラフィアンです。
2022年にデムーロ騎手に騎乗を依頼した馬主別に見てみると、最も多く乗せた馬主がサラブレッドクラブ・ラフィアンとなっています。
同じ母体であるビッグレッドファームと合わせると、他を大きく引き離した騎乗数となっているのです。
これまでもラフィアンはデムーロ騎手を乗せていましたが、昨年のユーバーレーベンでのオークス優勝を機に更に両者の絆は深まったようです。
こうした馬主の変化はかなり顕著で、直近5年間を見てみると最も多かったのは社台レースホースでした。
社台とはネオユニヴァースなどの頃からのパートナーシップがあり、デムーロ騎手は多くの有力馬に乗ってきました。
しかし2022年には全体の中でラフィアン、ミルファーム、ゴドルフィンに次ぐ4位にまで落ち込んでいます。
社台は今年の牝馬2冠を制したスターズオンアースを石橋脩騎手、横山武史騎手、川田将雅騎手、そしてルメール騎手に依頼しており
デムーロ騎手を乗せる兆候はありません。
このまま両者の関係は冷え込んでしまうのか、それとも再び騎乗依頼が増えていくのかは未知数です。
他にもこの5年間で言えばサンデーレーシング、シルクレーシング、G1レーシング、そしてキャロットファームといったノーザン系のクラブからも多くの騎乗依頼を受けていましたが、
2022年には影を潜めています。
特にサンデーレーシングは、今年6回しか騎乗依頼をしておらずデムーロ騎手に見切りをつけてしまったようです。
サンデーレーシングは、ノーザンファームの運営するクラブで常にリーディングトップとなっている馬主でもあります。
そこに見切られてしまったとなると、今後の成績アップも厳しいと言えそうです。
こうした状況でデムーロ騎手がとる戦略としては、やはりラフィアンやビッグレッドファームとの結びつきをさらに強めることでしょう。
ラフィアンの主力騎手は現在のところ丹内祐次騎手と、柴田大知騎手です。
どちらも決して下手な騎手ではありませんが、リーディングで言えばデムーロ騎手の方が上位の存在です。
さらに最近丹内騎手は落馬によって負傷をしてしまいました。
その穴を埋めるべくラフィアンは現在騎手の確保に必死なはずです。
そこにデムーロ騎手が入れば、騎乗数を確保することができます。
特に有力な馬をあててもらえば、良い成績も出していけるはずです。
実際、デムーロ騎手とラフィアンの相性はかなり良く、2022年での単勝回収率は175.2%、複勝回収率は119.7%となっています。
低評価の馬を馬券内に持ってくる技術力の高さは健在のため、ラフィアンとのパートナーシップで再び成績を向上させてもらいたいところですね。
色々とトラブルなどによって関係者から避けられているとの噂もあるデムーロ騎手。
しかしこれまで多くのG1を勝利してきたように、うまくハマればその実力は一級品です。
再び彼が大舞台で力を発揮し、笑顔を見せてくれることを期待したいですね。