
2022年の菊花賞は単勝2番人気のアスクビクターモアが勝利をしました。
1番人気のガイアフォースは1枠が響き、残念ながら8着と大敗してしまいました。
こうして幕を閉じた今年の菊花賞ですが、あなたは昨年の菊花賞1番人気を覚えていますか?
タイトルホルダーが強い競馬で勝利したことは覚えている方もいるかもしれませんが、
この時タイトルホルダーは4番人気でした。
ではそのタイトルホルダーよりも人気だった馬は今どうなっているのかと調べたところ
かなり厳しい状況に陥っていました。
今回はそんな昨年の菊花賞1番人気馬の現在の苦悩についてご紹介します。
タイトルホルダーより評価が高かった馬
昨年の菊花賞で一番人気だった馬、それはレッドジェネシスです。
この名前を聞いて思い出した方もいるかもしれません。
簡単にこのレッドジェネシスの菊花賞までの経歴について見てみましょう。
2018年に父ディープインパクト、母リュズキナ、母父ストームキャットという血統で生まれたレッドジェネシスは
初勝利まで4戦かかりましたが、5月にG2京都新聞杯を勝利し日本ダービーへと出走します。
しかしそこでは最高峰から追い込むも先頭からは離されシャフリヤールと1.1秒差の11着に敗れます。
そして約4ヶ月の休養の後、菊花賞トライアルのG2神戸新聞杯へと挑みステラヴェローチェの2着となります。
この時負けはしたものの強い競馬を見せたレッドジェネシスは、本番の菊花賞でステラヴェローチェを抑えて単勝3.9倍の一番人気に支持されます。
菊花賞時点での関係者のコメントでは「省エネ型の走りをするので距離延長もいい」
「春は結果を出せなかったが、最後の一冠は得意な舞台だと思う」
「鞍上が競馬を教えてきてくれたのが大きい」と菊花賞制覇へ自信を見せていました。
この鞍上とは、名手川田将雅騎手を差しています。
川田騎手はレッドジェネシスをこれまで未勝利戦から5戦連続で騎乗し競馬を教えてきました。
その後、日本ダービー、神戸新聞杯は別の騎手に乗り代わっていましたが菊花賞で再び川田騎手へと戻ってきたのです。
レッドジェネシスに競馬を教えてきた川田騎手に手が戻り、ダービーこそ大敗したものの前走で復活の兆しを見せたこと、
そして皐月賞馬エフフォーリア、ダービー馬シャフリヤールが出走しないということで
レッドジェネシスは1番人気に支持されたのです。
この状況は、松山弘平騎手がデビューから競馬を教えてきて、皐月賞馬、ダービー馬の両方ともに出走がなかったことで
1番人気に支持された今年のガイアフォースと被る部分がありますね。
また、このレースには後に現役最強馬と言われるタイトルホルダーも出走していましたが、
前走のセントライト記念で13着と大敗していたこともあり、単勝10.2倍の4番人気となっていました。
つまり菊花賞の時点ではレッドジェネシスの方が高い評価を受けていたことになります。
こうして多くの人から支持を受けたレッドジェネシスでしたが、レースではスタートで出遅れてしまい
道中は後ろから2番手で進めることとなってしまいました。
軽快に逃げるタイトルホルダーを必死に追いかけようとしますが、反応は今ひとつでした。
そして最終的にはタイトルホルダーから1秒7離された13着に敗れてしまいます。
1番人気が2ケタ着順に沈んだことで、場内は大荒れとなりましたがこれも競馬です。
陣営は「気持ちと体が噛み合わなかった」と精神面を指摘し、
鞍上の川田騎手は「調整段階で感じなかった前走の疲れが競馬場へ来たら出てしまったのかなという印象です」と
前走不良馬場を走ったことを念頭にコメントを残しています。
レッドジェネシスを放牧に出すことにしました。
しかしここから、レッドジェネシスの苦悩は始まります。
Expand All復帰後のレッドジェネシス
レッドジェネシスの復帰戦は、翌年の2022年2月に開催されたG2京都記念となりました。
この時レッドジェネシスは前走で大敗をしたものの、オークス馬ユーバーレーベンに続く2番人気に支持されました。
これはファン達がレッドジェネシスの実力を高く評価してのものでした。
前走は精神面や疲労による大敗で、その能力はG1級のものがあると多くの人々が認めていたのです。
しかしレースではスタートから出脚がにぶく、道中最後方から6番手まで押し上げるものの途中で失速していき
最下位となる13着に敗れてしまいます。
この2戦続けての敗戦について陣営は「途中で気持ちが切れてしまった」と精神面の課題をあげました。
そして次走は距離を短縮する目的で4月のG1大阪杯へと定め、ブリンカーを着用して臨むこととなりました。
しかしそこでもレッドジェネシスは道中最後方を追走し、良いところを見せれないままポタジェの13着に敗れてしまいます。
これで3戦連続の13着となってしまったレッドジェネシスは、少し間隔を空けて7月のG3七夕賞へと向かいます。
陣営はこの連続しての大敗について「気持ちの問題。今回のメンバーは戦いやすい相手なので自信を取り戻してほしい」と
その精神的な部分での復活を期待していました。
実際、これまでG1、G2、G1とトップクラスのメンバーと戦ってきていたため
今回G3の七夕賞となればメンバーはかなり落ちることになります。
そのためここでなんとか復活の狼煙を上げてほしいところでした。
しかし、レースではスタートで不利を受けると後ろから3番手を追走することになってしまい、
直線では後続にも追い抜かれ、16頭中15着に敗れてしまいます。
このレースについては陣営も「スタート後に挟まれて気持ちが切れてしまった」と、敗因をスタート直後の不利によるものだと分析しています。
まさに精神面との戦いとなってしまったレッドジェネシスですが、
続く9月のG3新潟記念では、道中7番手を進み順調そうに見えましたが最後の直線で伸びず18頭中16着に敗れてしまいました。
これにより菊花賞で1番人気となったレッドジェネシスは、その菊花賞からまさかの5戦連続での2ケタ着順となってしまったのです。
過去にはG2京都新聞杯を勝利しており、神戸新聞杯でも後に有馬記念4着、日経新春杯2着のステラヴェローチェとタイム差なしの2着となっていますから、
決してレッドジェネシスに能力がない訳ではありません。
しかし精神面でどうしても力を発揮できないレースが続いてしまっているのです。
今後は矛先を変えてダートのカノープスステークスを目標にするそうですが、
ディープインパクト産駒のダート成績はあまり良くないので、どうなるのかは心配です。
それでも矛先を変えることで精神面に変化が起きることを祈りたいと思います。
こうした精神面の問題は中々に厄介なものです。
去勢するのも方法の1つでしょうが、これまでの成績を見るに
うまくハマって再び活躍できれ将来的には種牡馬になれる可能性を秘めた馬です。
そのため去勢にまで踏み切れないというのが現状でしょう。
友道調教師もなんとかこの馬を復活をさせようと、今回レースの1ヶ月以上前から厩舎に戻し調整をしています。
通常友道調教師のような人気厩舎であれば、馬を回していくために牧場でできる限り仕上げてもらい
レース直前に厩舎に戻すということをしていきます。
しかし5戦連続で2ケタという成績のレッドジェネシスをこうして長く厩舎に置いて調整するということは
陣営としてもその能力には期待しており、復活させたいという気持ちが強いのだと感じられます。
果たしてここから復活ができるのか、注目したいところですね。
また、同様に今年の一番人気馬であるガイアフォースも心配です。
陣営は内枠が響いたとしていますが、もし精神面の問題であればレッドジェネシスのように
この後も惨敗が続いてしまう可能性があります。
そのようなことがないよう、復活を期待したいですね。