
あなたはメーヴェという馬をご存知ですか?
現役時代はオープンの丹頂ステークスを勝った馬なのですが、
競馬ファンに広く知られるようになったのは、その繁殖実績です。
メーヴェは現在2頭の子を産んでおり、それが小柄ながらに一線級で頑張るメロディーレーンと、
現役最強馬の1頭と言われるタイトルホルダーなのです。
つまり現状100%オープン馬、それも全国的に人気がある馬を産んでいるのです。
しかし、彼女には1つ問題がありました。
それが受胎率の低さです。
タイトルホルダーを出産して以降、彼女はなんと5年連続で不受胎となってしまっていたのです。
中には、驚異的な受胎率を誇るゴールドシップとも種付けをしましたが、それでも子を宿すことはできなかったのです。
そうした中で、今年ついに受胎をしたとして大きな話題となっています。
今回はそんなメーヴェの受胎にまつわる話と来年生まれてくるであろう子について見ていこうと思います。
圧倒的な繁殖実績を作ったメーヴェ
まずはメーヴェの血統から見ていきましょう。
メーヴェは父モティヴェーター、母トップテーブル、母父シャーリーハイツという血統で2008年にイギリスで生まれました。
父のモティヴェーターは無敗でエプソムダービーを制した名馬で、母トップテーブルは8戦して未勝利という成績でした。
そんな両親から生まれたメーヴェは、2009年オクトーバーイヤリングセールに上場され、
岡田牧雄氏が代表を務めるレックス名義で、約450万円で落札されました。
当時まだモティヴェーターの産駒には活躍馬が出ていなかったため、この価格で落札できたものと思われます。
こうして日本へやってくることとなったメーヴェは、
デビュー戦でグランプリボスに敗れたものの、クイーンカップ5着、チューリップ賞7着と重賞でも好走し、
4歳となった2012年9月にはオープンの丹頂ステークスを勝利しています。
そして岡田氏はこの馬を引退させると、2014年から自身が代表を務める岡田牧場で繁殖入りをさせます。
しかし、初年度にはヴィクトワールピサと配合するも残念ながら不受胎に終わってしまいます。
次の2015年にはオルフェーヴルと配合をし、見事受胎。
翌年に生まれたのがアイドル的人気を誇るメロディーレーンでした。
メロディーレーンは336kgでデビューするほど非常に小柄な体格の牝馬でした。
しかしそれでも10戦目でなんとか勝ち上がると菊花賞へと挑戦し、そこで12番人気ながら5着に健闘します。
その小さい身体で頑張る姿から多くの競馬ファンに愛されており、彼女のグッズも多数展開されているほどです。
そんな子を産んだメーヴェでしたが、続いての2016年はディープインパクトを配合するも残念ながら死産となってしまいます。
そして翌年の2017年にはドゥラメンテと配合し、見事受胎。
2018年に産まれたのが、あのタイトルホルダーでした。
タイトルホルダーは菊花賞、天皇賞(春)、そして宝塚記念を非常に強い競馬で勝っており
凱旋門賞こそ大敗してしまいましたが、現役最強馬の1頭として君臨しています。
不受胎こそ多いものの、もし産むことができれば大当たりの子を産むメーヴェには
繁殖牝馬として大きな期待がかけられるようになっていきました。
しかし、ここからメーヴェとその関係者の苦悩が始まります。
タイトルホルダーが生まれた年の2018年にはゴールドシップを配合するも不受胎となり、
翌年の2019年には再びヴィクトワールピサを配合するもこちらも不受胎に。
続く2020年にはまずキズナを種付けするも不受胎となったことから、
翌月にタイトルホルダーの時と同じくドゥラメンテを種付けしましたが、それでも不受胎となります。
さらに翌年の2021年にはドゥラメンテを種付けし不受胎となり、
翌月にキズナをつけますが、これもまた不受胎となりました。
そして2022年にもエピファネイアを種付けするも、残念ながら不受胎に終わります。
これでメーヴェはすでに7頭連続で不受胎となってしまったのです。
もうダメなのか…と誰もが思った時、最後につけたのがこの年に新種牡馬としてビッグレッドファームに来ていたベンバトルでした。
ベンバトルは2018年にドバイターフなどを制しており、メーヴェと同じイギリス生まれの馬です。
同郷で相性が良かったのか、なんとメーヴェは5年ぶりに受胎することに成功したのです。
このまま順調にいけば、2023年の春にはメロディーレーンやタイトルホルダーの下の子が産まれてきます。
岡田氏も「この馬にも期待しています」とコメントをしており、姉や兄のような活躍ができるのかに期待したいところですね。
Expand Allベンバトルってどうなの?
ファンの方も、期待したい一方でベンバトルという点が少し引っかかっているようですね。
ここでベンバトルの血統について見てみましょう。
ベンバトルは父ドバウィ、母ナーレイン、母父セルカークという血統です。
ドバウィはヨーロッパのトップサイヤーの一頭で、ベンバトル以外にもマクフィやモンテロッソといった産駒が日本で種牡馬として活躍しています。
また、母のナーレインはイギリスの3歳牝馬チャンピオンに選出された馬で、かなりの良血であることが分かります。
今年は種付料250万円で108頭を集めており、まずまずの好スタートを切っています。
ヨーロッパ系の血統で、サンデーサイレンスの血が入っていないという点も日本で種付けをしやすいと言えます。
ただ、メーヴェはメーヴェで重厚なヨーロッパ血統であるためその両者が掛け合わさるとスピード不足が懸念されます。
実際タイトルホルダーは宝塚記念も制してはいますが、メロディーレーンとともに長距離で無類の強さを発揮しています。
ベンバトルとの子もこの流れでいくと、おそらく短距離でスピードを活かすといった競馬ではなく
豊富なスタミナで押し切るといったスタイルになるのではないかと見られます。
デビューした際には、日本のスピード競馬に対応することができるかに注目が集まりそうです。
まだ産まれてもいない子ではありますが、早ければ3年後の2025年にデビューする予定です。
一体どんな走りを見せてくれるのか楽しみにしたいところですね。