
2023年2月5日の東京新聞杯は三浦皇成騎手騎乗のウインカーネリアンが見事に勝利しました。
これによりウインカーネリアンは重賞2勝目を飾り、次に狙うはG1のタイトルとなりました。
主戦騎手である三浦皇成騎手は関東のリーディング上位として長く活躍してきましたが、
中央競馬でのG1勝利は未だにありません。
そのためこのウインカーネリアンでG1勝利をとの想いはかなり強いようです。
そこで今回は、三浦皇成騎手のこれまでのG1における苦しい戦いと
今後ウインカーネリアンでG1制覇を成し遂げられそうなのかについて見ていこうと思います。
G1を113連敗中の三浦皇成騎手

G1は多くの場合16頭から18頭で走ります。
そのため単純な確率で言えば、18回以上騎乗することができれば1度は勝つことができるはずです。
しかし三浦皇成騎手はこのG1勝利にとことん縁がありませんでした。
そしてデビューから15年目となる2023年5月時点では、ついにその連敗を113としています。
確率だけなら6回か7回は勝利していても良いはずですが、どうしてこれほどまでに勝てないのでしょうか。
三浦皇成騎手は2008年にデビューした際、あの武豊騎手が記録した69勝を大きく上回る年間91勝という、
新人騎手として歴代最多となる勝利数を達成しました。
そして1年目の10月にはスプリンターズステークスで早速G1に初騎乗を果たします。
ここでは10番人気ということもあり14着に敗れますが、
この1年目には4つのG1に騎乗しており、早くから大舞台での貴重な経験を積むことができました。
こうした活躍から1年目から全国リーディング9位となり、G1でも早くから経験を重ねていったため
三浦皇成騎手のG1制覇はすぐそこだと思われていたのです。
しかしここから彼の苦悩は始まります。
まず三浦皇成騎手はG1初騎乗から13戦連続で2ケタ着順という記録を作ってしまいます。
騎乗馬の多くが人気薄だったということもありますが、
中には2009年のスプリンターズステークスで4番人気キンシャサノキセキに騎乗するといったチャンスもありました。
しかしそこでも12着に敗れてしまっており、なかなかG1で結果を残すことができませんでした。
ようやく2ケタ着順から脱したのは、2009年のマイルチャンピオンシップでスマイルジャックに騎乗した際の6着でした。
そして三浦皇成騎手はこのスマイルジャックとのコンビでG1競走に続けて挑むようになり、
安田記念を2年連続で3着と惜しい競馬を見せます。
特に2度目の3着となった安田記念の前には「自分の初G1はこの馬で獲ると、ずっと心に誓っていました」と語っており
なんとしても勝ちたいところだったのでしょうが、結局このコンビでもG1を勝つことはできませんでした。
こうして最初のチャンスをものに出来なかった三浦皇成騎手は、
その後もエイシンフラッシュやグランプリボス、レイデオロ、マカヒキといったG1馬にも騎乗しますが、
再びの勝利へと導くことはできませんでした。
このような負けを積み重ねていった結果、2022年の競馬が終わった時点で109連敗という悔しい数字になってしまいました。
この109回のうち1番人気に支持されたことは未だになく、
これまで最も多くの支持を集めたのは、2020年のホープフルステークスで2番人気に支持されたランドオブリバティでした。
しかしここでも不運が彼を襲います。
デビューから三浦皇成騎手が乗り2連勝中だったランドオブリバティでしたが、
レースでは4コーナーで曲がることができず、そのまま競走中止となってしまったのです。
こうして人気の馬でも結果を残すことができなかった三浦皇成騎手ですが、
実は地方競馬ではG1級のレースを勝利しています。
2014年にはディアドムスで全日本2歳優駿を、そして2022年にはダンシングプリンスでJBCスプリントを勝利しています。
ただこの2つのレースはあくまで格付けはJpn1で、国際的に認められたG1ではありません。
そのため本当の意味でのG1勝利という点では、まだ成し遂げていないというのが現状です。
こうした中で、ついにG1を勝てそうなのがウインカーネリアンと挑む2023年の安田記念なのです。
Expand Allウインカーネリアンと歩んできた三浦皇成騎手

ウインカーネリアンは2017年に生まれた6歳牡馬で、
父スクリーンヒーロー、母コスモクリスタル、母父マイネルラヴという血統です。
三浦皇成騎手が乗り2勝をあげたものの2020年のクラシックでは田辺騎手が乗り
そこで皐月賞4着、ダービー17着という成績を残します。
そしてその後、10月の茨城新聞杯で再び三浦皇成騎手が騎乗して勝利します。
これによりウインカーネリアンは、11戦走った中で三浦皇成騎手が騎乗した際に3戦3勝となり、
非常に相性の良いコンビであることを示しました。
そのためこれ以降一度を除きすべてウインカーネリアンには三浦皇成騎手が騎乗しており、
まさにパートナーとして躍動していきました。
そして5歳となった2022年、ウインカーネリアンはリステッド競走を連勝し、さらにG3関屋記念を勝利して重賞初制覇を果たします。
その勢いのまま11月にはG1マイルチャンピオンシップに挑みますが、
スタート直前に大きく立ち上がるといった精神面の課題を見せます。
さらに最後の直線では左右から挟まれ、前が壁になるというアクシデントもあり12着に敗れてしまいます。
こうしてG1でその実力を発揮できなかったウインカーネリアンでしたが、
年が明けた2023年2月5日のG3東京新聞杯では、前走のうっぷんを晴らすかのように見事に逃げ切ります。
この勝利について三浦皇成騎手は、勝利ジョッキーインタビューで次のように語っています。
「今まで力で勝ってきた馬が初めてゲートという課題で挫折して、
厩舎の方と話し合い試行錯誤してここに臨んでいたので、こういう形で結果が出てホッとしています。
この馬にたくさんの経験をさせていただいて、今の僕があると思っています。
関係者やファンの皆さんに結果で応えられたことを嬉しく思います。
前走はG1で自分の競馬ができなかったので、今日はとにかくウインカーネリアンの競馬をと思い強気でいきました。
これからは、去年果たせなかったGI勝利をこの馬と一緒にできるように、
僕自身ももっともっと高めて、頑張っていきたいです」
このように、ウインカーネリアン陣営とともに課題を克服してきた三浦皇成騎手。
ウインカーネリアンでG1制覇をという想いはかなり強いようです。
6月には安田記念があり、そこには必勝態勢で望むはずです。
当然これらの鞍上は三浦皇成騎手になるはずで、
ウインカーネリアンとともに悲願のG1制覇を成し遂げてもらいたいところですね。
現在マイル路線では4歳馬セリフォスや、ソダシ、ダノンザキッドといった強敵がいます。
それでも充実期に入り、課題も1つ1つ克服しているウインカーネリアンと三浦皇成騎手であれば
それらに打ち勝つことも十分期待できます。
また、三浦皇成騎手にはウインカーネリアン以外にもG1で勝利するチャンスはあります。
もはや呪いとも言えそうな三浦皇成騎手のG1連敗記録が早いうちに終わることを祈りたいと思います。