2019年7月30日に亡くなったディープインパクト。
しかしその産駒は今も活躍を続けています。
そして最近、最後の大物と言われる馬が登場し競馬界を沸かせています。
さらに史上最速となる大記録も作り上げ、その偉大さを示しました。
今回はそんなまだまだ活躍を見せるディープインパクト産駒について見ていきたいと思います。
金鯱賞を快勝した、遅れてきた大物プログノーシス

ディープインパクト最後の大物の一頭と言われているのが、
先日の金鯱賞を制したプログノーシスです。
2018年5月15日生まれの5歳牡馬で、父ディープインパクト、母ヴェルダという血統です。
1歳の時に社台サラブレッドクラブにおいて総額8000万円、1口200万円で募集にかけられました。
5月生まれということもあり1歳6月の馬体重は365kgで、10月になっても415kgと小柄な体格でした。
しかしそこから徐々に成長をしていき、2021年3月13日に3歳となって迎えたデビュー戦では480kgにまで体重を増やしました。
そしてそのデビュー戦では川田将雅騎手を鞍上に中団を進むと、直線でグングンと加速をしていき勝利しました。
川田騎手も「力が違った印象です」と未勝利クラスの馬ではないと評価しました。
その後は中1週でG3毎日杯へと挑み、レコード決着の中で3着に入りました。
この時中内田調教師は「大事に使っていけば将来的に楽しみな存在になりそう」と
敗れはしたもののプログノーシスの将来性を高く評価していました。
その後は一度放牧へ出されると6月に1勝クラスへ出走し、
最後は手綱を抑える余裕っぷりで2勝目をあげます。
ただプログノーシスには欠点がありました。
それは体質の弱さです。
レースの後には左前肢にムクミが出て、
右前肢には骨瘤の症状が出るなどダメージを受けてしまいました。
そのため4戦目は半年ほど空いた11月21日の2勝クラスとなります。
そこでもプログノーシスはレースで大外から鋭い脚を見せ、余裕の勝利を果たしました。
しかしレース後には筋肉疲労が見られ再び放牧へ出されます。
こうしている間に3歳シーズンは終わり、プログノーシスは4歳となります。
3歳時は4戦3勝と実力は見せつつも、未だに3勝クラスと条件馬のままで終わりました。
一方で毎日杯でプログノーシスに勝ったシャフリヤールはその年の日本ダービーを制しており
大きな差がついてしまっていました。
この差を埋めるべく調整が進められたプログノーシスは、
再び半年ほど間隔が空いた2022年4月に復帰戦を迎えます。
そこでも後方から最後の直線で大外に出されると、一気の末脚で勝利しついにオープン入りを果たします。
4歳の4月にようやくオープンとなったプログノーシスでしたが、その後は再び放牧に出され
次走は10月のカシオペアステークスとなりました。
ここでは裏で天皇賞(秋)が開催されていたため、川田騎手ではなく岩田望来騎手が手綱をとりました。
すると最後は抜群の末脚を見せますが、粘るアドマイヤビルゴを交わせず2着となり連勝は3でストップします。
その後は12月10日のG3中日新聞杯に出ますが
ここでは騎乗予定だった川田騎手がコロナの陽性判定となり、急遽藤岡佑介騎手が乗ることとなりました。
藤岡騎手は毎日杯の時にも騎乗していることから、この馬のクセを掴んでいると陣営は判断したのでしょう。
するとレースではいつもの様に最後の直線で大外を回りますが、先行勢も止まらず4着に敗れてしまいます。
この2戦は決して騎手の腕のせいで負けた様には見えませんでしたが
川田騎手が乗った場合には4戦4勝ということを考えると、川田騎手との相性が非常に良い馬と言えそうです。
こうしてオープンに上がってから連敗してしまったプログノーシスは2023年に5歳となり
その初戦をG2金鯱賞へと定めます。
当初は2月の小倉記念も検討されていましたが、万全な状態で出走させるため約1ヶ月ほど遅らせて
厩舎で調整が進められました。
そして迎えた3月12日の金鯱賞では、再び鞍上に川田騎手を迎え重賞獲りへ挑むこととなりました。
この金鯱賞には昨年の大阪杯優勝馬のポタジェや、フェーングロッテン、マリアエレーナといった重賞馬が揃っていました。
そうした中で、これまでのレースから1番人気に支持されたプログノーシスは、
道中を後方から進めると、直線では大外から鋭い脚を見せます。
最後には内で粘るフェーングロッテンを差し切り、見事重賞初制覇を果たしました。
プログノーシスは周囲に馬がいると力む面がある馬のため、
大外枠を活かしうまく外を回った川田騎手の好騎乗も光りました。
その川田騎手はレース後に「1戦するとダメージの大きい馬でこれだけしかキャリアを積めていない」と、
体質面を課題にあげながらも、プログノーシスの才能を高く評価しました。
こうして賞金を積み上げることに成功したプログノーシスは、いよいよG1戦線へと挑むこととなります。
ただ、川田騎手が指摘するようにあまり間隔を詰めて使うことはできないタイプの馬でもあります。
大阪杯は中2週ということを考えると厳しいかもしれません。
また、大阪杯で川田騎手はすでにヴェルトライゼンデに騎乗することが決まっています。
川田騎手とのコンビで5戦5勝ということを考えると、彼のスケジュールを確保することが
プログノーシスにとって重要となります。
そうなると、有力視されるのは香港遠征です。
香港では4月30日にクイーンエリザベス2世カップがあります。
ここであれば、4月2日に開催される大阪杯よりも間隔が空くため調整が間に合いそうです。
もしくはもう少し間隔を空けて、宝塚記念を目指す可能性も考えられます。
今回の勝利によってファン投票でも上位に来ることが考えられ、出走自体は問題なさそうです。
そのため万全の体制で望むのであれば、宝塚記念でも良さそうです。
いずれにせよ、G1を制覇するチャンスはすぐそこに迫っています。
ディープインパクト産駒は現3歳世代が最後となり、
そこにはシンザン記念を制したライトクオンタムなどもいます。
そのため世代で言えば最後ではありませんが、遅れてきた大物としてプログノーシスが最後のG1制覇を果たす馬となる可能性はあります。
サンデーサイレンスの場合、最後から3番目の世代からはダイワメジャーやハーツクライといった馬が誕生しました。
ディープインパクト産駒もこの世代はシャフリヤールが出ていますが、
それに続く活躍馬としてプログノーシスにはぜひ頑張ってもらい
現役引退後は種牡馬としてもダイワメジャーやハーツクライの様に、長く活躍を見せてもらいたいと思います。
また、この金鯱賞が開催された3月12日にはディープインパクトが新しい記録も作っています。
Expand Allディープインパクトが史上最速の記録を達成

ディープインパクトが達成した記録、それは史上最速でのJRA通算2700勝です。
中山10Rでラインベックが勝利したことにより、ディープインパクト産駒はJRA通算で2700勝を達成しました。
これは父のサンデーサイレンスに次ぐ2頭目の記録で、産駒の初出走の日から数えて12年8ヶ月21日という記録は
サンデーサイレンスの13年7ヶ月17日を上回る記録となります。
競馬界を大きく変えた父を超える記録を達成したというのはまさに快挙です。
次はこのディープインパクト産駒の中から、父を超える偉業を達成する馬が現れてほしいところですね。