
4月9日には牝馬クラシックの第一冠、桜花賞が開催されます。
今年は大本命のリバティアイランドに他の馬がどのように挑むかとなりますが、
混乱が起きています。
今回はそうした桜花賞における異常事態と、
なぜこのようなことが起きたのかについて見ていきたいと思います。
G1・2着馬シンリョクカが桜花賞に出走できなさそう

今年の桜花賞で起きそうな異常事態。
それは史上最高の賞金ボーダーです。
桜花賞はフルゲート18頭で争われます。
この桜花賞ではトライアル競走により優先出走権を得ている馬が8頭います。
彼女たちは今のところ全頭出走を予定しているため、残りの枠は10頭となります。
その10頭は収得賞金順で決まり、賞金額1番手は阪神ジュベナイルフィリーズを勝利したリバティアイランドになります。
続くのは新潟2歳ステークスとフェアリーステークスを制したキタウイング、
函館2歳ステークスを制したブトンドールなどとなります。
そして現在18頭目となっているのが、阪神ジュベナイルフィリーズ2着のシンリョクカです。
シンリョクカの収得賞金額は1700万円で、例年であれば何の問題もなく桜花賞へ出走できるレベルです。
2010年から2022年までの賞金ボーダーを見ても、
最も高かったのは2019年の1600万円でした。
この2019年は桜花賞へギリギリ出走できたのが、500万下を勝ち
G3フェアリーステークスで2着に入り賞金を積み重ねたホウオウカトリーヌらだったことを考えれば
出走するだけでかなり大変な状況でした。
逆に2022年は収得賞金400万円の馬が2頭出走できています。
こうして年ごとに上下はあるものの、
2019年を上回りそうな2023年の桜花賞はまさに異常事態と言える状況です。
さらにフラワーカップの収得賞金は1着1850万円、2着750万円ですので
ここから桜花賞への出走を表明する馬がいればボーダーはますます上がります。
となるとG1を2着に入った馬でさえ、賞金が足りずに出走ができないということが起こりそうなのです。
もちろんここから桜花賞を回避する馬もいるため、最終的なボーダーはどうなるか分かりませんが
もし本当にシンリョクカが賞金が足りずに出走できなくなれば、今後のローテーションについて狂いが生じます。
生産の下河辺牧場さんのTwitterでも
「なんだって!!!!!!
阪神JF2着で出れないかもしれないなんてまったく想像していなかった」と驚きの投稿をしています。
では一体なぜこのようなことになってしまったのでしょうか。
そこには、近年の競馬における傾向が関わっていました。
Expand All今年の桜花賞が史上最高レベルのボーダーになる理由

今年の桜花賞の賞金ボーダーが上がってしまった理由、それは直行組が多いことです。
近年クラシックレースには、トライアル競走を使わずに休み明けから直行するケースが目立ちます。
そして桜花賞で言えば2018年から5年連続でトライアル競走を経由しない馬が優勝しています。
この理由はいくつかあるのですが、トライアル競走を使わない方がフレッシュな状態でレースに迎えることや
休み明けでも実力を発揮できる様に調教が進化したことなどが挙げられます。
こうなると、早期に賞金を積み上げた馬は無理をしてトライアル競走を使うことなく
早めに休養に入り調整を進めていった方がレースで活躍しやすくなります。
先程の下河辺牧場さんもTwitterで
「桜花賞直行はG1を舐めているわけではなく、前哨戦を使う方がレースの反動だったりで調整がより難しくなってしまうんです…」
と、阪神ジュベナイルフィリーズから直行で桜花賞へ向かう理由を説明しています。
2010年からの状況で言えば、シンリョクカの賞金であれば100%出走できていたので
G1で2着に入った後、こうした直行を考えることは全くおかしくありません。
しかし今年は同じようなことを考えた陣営が非常に多かったことが災いしてしまいました。
トライアル競走で優先出走権を得た8頭がいずれも収得賞金の低い馬が得たことにより、
ボーダーが跳ね上がってしまったのです。
もともと賞金額的に出走のできる馬が、トライアル競走を使って調整するといったケースがほとんどなかったため
これまで賞金額の低かった馬たちが次々と出走枠を埋めていきました。
また、チューリップ賞におけるドゥーラとキタウイング、
フィリーズレビューにおけるブトンドールとリバーラのように、
収得賞金が多かった馬が3着以内に入れなかったということも影響しています。
さらには2歳の重賞戦線で小倉2歳ステークス以外で牝馬が優勝したことも、賞金ボーダーのアップにつながっています。
こうしたことが重なった結果、このままいけば史上最高となる賞金ボーダーができあがることとなりました。
ちなみに皐月賞は弥生賞ディープインパクト記念に、トップナイフが2着に入ったことや
賞金上位馬がNHKマイルカップやUAEダービーなどに出走を予定しているため、例年通りのボーダーとなりそうです。
つまり桜花賞だけが異常な状態となっているのです。
これは桜花賞以外に牝馬のマイル路線の馬が進む場所がないというのも影響していそうです。
NHKマイルカップを狙うのであれば、その前に桜花賞を使いたくなりますし
海外遠征も3歳牝馬に適したレースは見当たりません。
そうしたことを考えると今後もこうしたボーダーの高くなる傾向は続いていくものと見られます。
そのためもしかすると来年以降は直行ではなくトライアル競走をはさみ
確実に本番に出走できるようにする馬たちが増えるかもしれませんね。
では、このレベルの高くなりそうな桜花賞はどうなるのでしょうか?
今年の牝馬クラシックはリバティアイランドの一強?

今年は牡馬クラシックは大混戦と言われています。
そしてそれとは逆に、牝馬はリバティアイランドの一強なのではないかと見られています。
2戦目のアルテミスステークスこそ2着に敗れていますが
これは直線で進路がなく閉じ込められてしまったためでした。
直線半ばに大外へ出してからの末脚は素晴らしく、続く阪神ジュベナイルフィリーズでは見事に優勝しました。
そのパフォーマンスを見れば、牝馬クラシック戦線の主役となることは間違いありません。
体型的にオークスや秋華賞がどうかとは思いますが、血統的には問題ないはずなので
今のままいけば牝馬三冠も期待できる逸材と言えそうです。
これを追いかけるのが、ディープインパクト最後の世代であるライトクオンタムです。
シンザン記念では牡馬相手に見事な末脚を見せて優勝しました。
まだ一線級の相手と対戦していない点は気がかりですが、
過去にシンザン記念を勝利し本番へ望んだアーモンドアイの様に、桜花賞でも通用する可能性は十分にあります。
他にはフィリーズレビューでハイペースながらこれまでよりも前に位置し、
最後は鋭く伸びたシングザットソングも有力です。
1400mで中団にいられたことは、桜花賞に良い影響を与えるはずです。
そしてこれらの馬がいずれも社台・ノーザン系の馬というのはさすがですね。
非社台・ノーザン系であればキタウイングにも期待したいところです。
馬主のミルファームはオーナーブリーダーとして長年活動していますが、
2022年にビリーバーで馬主として初重賞勝利を果たすと、キタウイングでも重賞を2勝しています。
残すは悲願のG1勝利のみで、ついに夢を叶えることができるのかに注目したいと思います。
このように賞金ボーダーや有力馬について考えていると、
いよいよ今年のクラシックが近づいてきたという感じがしてきますね。
18頭しか出走できない厳しい難関をくぐり抜けてレースを制するのはどの馬なのでしょうか。
今からワクワクが止まりません。
桜花賞(2023)賞金ボーダー
【優先出走権獲得馬:8頭】
モズメイメイ
コナコースト
ペリファーニア
シングザットソング
ムーンプローブ
ジューンオレンジ
トーセンローリエ
コンクシェル
【収得賞金順】
-4250万円-
リバティアイランド
-3850万円-
キタウイング
-2750万円-
エミュー
-2600万円-
ブトンドール
-2400万円-
ライトクオンタム
-2250万円-
ハーパー
-2000万円-
ドゥーラ
ラヴェル
リバーラ
■以下が除外対象馬
-1750万円-
ドゥアイズ
-1700万円-
シンリョクカ
-1650万円-
メイクアスナッチ
-1600万円-
ユリーシャ