
地方競馬が盛り上がりを見せている昨今ですが
ついに佐賀競馬でもG1(JpnⅠ)が開催されることが決まりました。
しかもその内の1つが1860mという特殊な距離での開催となりました。
今回はそんな佐賀で行われる初のG1開催や、
なぜこうなったのかなどについて見ていこうと思います。
ついに佐賀にJBCがやってくる

佐賀競馬で開催されるG1(JpnⅠ)はJBCクラシック、JBCスプリント、そしてJBCレディスクラシックの3競走です。
2024年にJBCが佐賀競馬で開催されることとなったのです。
このJBCはアメリカのブリーダーズカップを参考に生産者が主導し、
ダート界における各カテゴリーのチャンピオンを決める戦いとして創設されました。
ちなみにJBCの正式名称はジャパン・ブリーダーズカップではなく
ジャパン・ブリーディングファームズカップです。
これはジャパン・ブリーダーズカップにしようとしたところ
本家のブリーダーズカップからクレームが来たためです。
そこからは正式名称は基本的に使用せず、略称であるJBCを使用しています。
そんなJBCはもともと各地方競馬場持ち回りで開催するものだったのですが、
これまでの23回中9回が大井競馬場で開催されており、
他の南関東の競馬場を合わせると14回と半数以上を占めています。
そしてこれまで九州地方では開催されたことがありませんでした。
これはいくつかの理由があるのですが、その1つは馬券の売上です。
2017年以前、大井競馬や川崎競馬などの関東圏で開催された場合、その日の馬券売上は50億円弱になりました。
しかし2013年の金沢、2014年の盛岡といった場所で開催した際には
馬券の売上は30億円弱に留まったのです。
これは競馬場の収容人数や立地などの差により生じるものでした。
馬券の売上は競馬場にとって大きな収入になり、担当となった競馬場は
JBCの賞金の多くを支払う必要があります。
2023年時点でJBCクラシックの賞金は1億円、JBCスプリントは8000万円、JBCレディスクラシックが6000万円となっています。
これらを合計すると優勝賞金だけで2億4000万円にもなります。
さらに5着までの賞金で考えるとさらに1.7倍の4億800万円にものぼります。
過去はもう少し賞金が低かったとは言え、これらの高額賞金を支払うことを考えると
20億円近く売り上げの差が出てくる関東の競馬場で開催されることが多くなるのも仕方がありませんでした。
ただ、ここ最近になりその潮目が変わろうとしています。
そのきっかけの1つが、新型コロナウイルスです。
これの流行により馬券をインターネットで購入する人が劇的に増加し、
競馬場へ足を運ばずに馬券を購入するスタイルが定着したのです。
それに伴い地方競馬の売上も急激に上がりました。
2020年の地方競馬における売上は、前年比130.1%にものぼりその波はJBC競走にも及びました。
JBCクラシックの売上で見てみると、2019年に浦和競馬で開催された際には17億9831万3800円でしたが
2020年に大井競馬で開催された時には29億9179万1200円と66%も増加しました。
この勢いはそれ以降も続き、2021年は金沢での開催だったにも関わらず24億123万300円を売り上げます。
2013年に金沢で開催された際には10億1653万1100円だったことを考えると、2倍以上もの売上となっているのです。
さらに2022年の盛岡開催でも25億49万1500円と好調を維持しており、
南関東での開催でなくとも、馬券の売上が上がることが証明されたのです。
こうしたことから、2024年開催に手を挙げたのが佐賀競馬でした。
佐賀競馬は佐賀県鳥栖市にある競馬場で収容能力1万5000人の小さな競馬場です。
東京競馬場が約22万人、大井競馬場の収容人数が6万350人ということを考えると、その規模感が分かります。
コースも1周が1100mしかなく、それ以上の距離のレースは2周する必要があります。
この競馬場で開催されるダート交流重賞はこれまでサマーチャンピオンと佐賀記念といういずれもG3のレースのみでした。
ここにJBCというG1レースが1日に3つも開催されることとなるのですから、まさにお祭り騒ぎとなりそうです。
では、佐賀県でのJBC競走はどのような形で開催されるのでしょうか。
Expand All佐賀で開催されるJBC競走の概要

まず佐賀県でJBCが開催されるのは2024年11月4日です。
この日は月曜日ですが、文化の日の振替休日となっています。
そして距離はJBCクラシックが2000m、JBCスプリントが1400m、JBCレディスクラシックが1860mと設定されています。
特徴的なのはレディスクラシックの1860mですが、この距離は通常の佐賀競馬では設定されていないコースです。
このように特殊な距離となったのは、交流競走を施行するためのルールが関係しています。
交流競走を施行するには最初のコーナーまで200m以上の距離を確保しなければならないという決まりがあります。
ところが佐賀競馬の直線は250mしかないので、スタート地点は直線の始まりに近い所に置くしかありません。
JBCレディスクラシックは基本的に1800mで設定されるレースですので、
それに近い距離かつコーナーを回った直後のところにスタートを置くと考えた時、
この1860mという刻んだ距離に落ち着いたようです。
このような特殊な距離になるのも、持ち回りでやっていくレースだからこそと言えますね。
佐賀競馬は1991年に359億円を売り上げた後、徐々に減少していき1998年以降は2012年まで赤字に転じたという過去があります。
そして2001年には中津競馬が、2011年には荒尾競馬が廃止となっており
佐賀競馬も非常に厳しい環境に立たされました。
しかしそれでも2013年から黒字に転換すると、2020年には約492億円を売り上げ過去のピークを大きく上回りました。
さらに2022年は688億2000万円を記録するなど、まさに絶好調となっています。
周囲の競馬場が次々に廃止される中、辛い時期を乗り越えようやく開催にこぎつけたJBC競走ですから
関係者の方々の喜びもひとしおでしょうね。
ちなみに2024年にはいわゆる国体が国スポと名称を変えて開催される最初の年なのですが、
その開催場所も佐賀県に決まっています。
何もないと言われることの多い佐賀県ですが、2024年にはスポーツで大きな盛り上がりを見せることとなりそうです。