ディープインパクトの後継種牡馬さすがに多すぎ問題。淘汰が進んでいきそう

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今年の種付けシーズンが始まり、種牡馬たちは仕事に勤しんでいます。

それらの種牡馬を眺めていると、
どうにもディープインパクト産駒が多すぎるのではないかと思えてきました。

そこで今回はディープインパクトの後継が多すぎる問題と
将来起こりそうなことについて見ていきたいと思います。

全種牡馬の内、10%以上がディープ系

全種牡馬のうち10%以上がディープインパクト産駒

今年日本で種牡馬として登録されたのは、286頭です。

そのうちアラブ系の馬が8頭おり、サラブレッド系種牡馬は278頭となります。

繁殖シーズンに登録される馬が出たらここからもう少し上乗せされます。

この種牡馬たちを父別に見ていくと、
ディープインパクトの子がなんと40頭もいることが分かりました。

2番手のキングカメハメハの子が14頭、3番手のステイゴールドの子が10頭ですから
いかにディープインパクトの子が種牡馬として多いかが分かります。

同じ血統であるブラックタイドの子もキタサンブラックを筆頭に3頭いることから
まさにこの血は飽和状態にあると言えます。

全体に対するディープインパクト産駒種牡馬の割合は現在14.4%にも上ります。

2019年には26頭でしたからここ4年の内に14頭も増えた計算になります。

ここに、後数年でダービー馬シャフリヤールやポタジェ、
アスクビクターモアといったG1馬が種牡馬入りをすることを考えれば
ディープインパクト産駒種牡馬はさらに増加していくこととなります。

それだけディープインパクトが優秀な産駒を輩出したと言えるのですが
これだけ増加していくと当然このディープインパクト産駒種牡馬たちの中で競走が激化していきます。

では、この同じ父を持つ馬たちの中で現在のヒエラルキーはどうなっているのでしょうか。

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ディープインパクト産駒種牡馬のヒエラルキー

ディープインパクト産駒種牡馬のヒエラルキー

まず2022年において最も種付け数が多かったのは200頭を集めたシルバーステートです。

シルバーステートは当時騎乗していた福永祐一騎手が
「排気量の大きさでいうと、今まで乗った馬のなかで間違いなく一番」と語るポテンシャルの高さを誇りました。

しかしケガにより思うようにレースを走ることができず、
5戦4勝で1600万下条件を制したのみで現役を引退します。

それでもポテンシャルの高さが評価されて種牡馬入りをすると、初年度から191頭と種付けをします。

その後に4年目には138頭まで減少しますが、初年度産駒が活躍しだすと5年目の2022年には200頭を集めました。

特徴はどの馬もコンスタントに活躍することで、
アーニングインデックスという一頭あたりの獲得賞金をもとにした数値は
現時点で1.28と平均を超えています。

ただ問題なのは2世代が走る今、重賞を勝利したのがウォーターナビレラのみとなっていることです。

トップクラスで活躍する馬があまりいないのが現状で、
これでは馬主が夢を見て購入するといったケースが少なくなってしまいます。

そのため長期的に見れば需要が減少してしまうことも十分考えられるのです。

そして種付け頭数で2番手となったのが193頭を集めたコントレイルです。

父と同じ牡馬三冠を制した、いわば正当な後継種牡馬とも言える存在です。

集まった繁殖牝馬もそうそうたるメンバーで、
例えばアスクビクターモアやキタサンブラックといったG1馬の母たちや、
ソウルスターリングなどのG1を制した馬がいます。

まだこの年が初めての種牡馬シーズンだったため産駒のデビューは後2年後ですが
どのような活躍をするか今から注目が集まります。

その次は169頭を集めたキズナ、151頭を集めたリアルスティール、
145頭のダノンプレミアムと続きます。

こうして種付け頭数を見ると、100頭以上を集めたディープインパクト産駒種牡馬は6頭おり
合計すると963頭となります。

この中から実際に子供が産まれるのが7割程度だとすると674頭がこの6頭の子となります

現在日本の競走馬生産頭数は約7500頭ですから、それだけで8.9%ほどを占めます。

ディープインパクト産駒の種牡馬はさらに34頭おり、
これらを合わせると全体の2割ほどの馬がディープインパクト系種牡馬の子となります。

こうなると当然この中での淘汰が激しくなっていきます。

例えば2014年のマイルチャンピオンシップを制した
ダノンシャークは2017年に種牡馬入りをしたものの、2021年には種付け頭数が5頭となり種牡馬を引退しました。

現在はNPO法人の引退馬協会の支援により余生を過ごしているものの、
今後同様に繁殖牝馬が集まらず種牡馬を引退するディープインパクト系種牡馬も増えてくるものと考えられます。

また、これほどまでに生産馬の中で占める中で1つ気になる点があります。

それがディープインパクト系種牡馬の中から、G1を勝つような大物があまり出てきていないことです。

先程のシルバーステートが重賞馬を1頭しか出していないこともそうですが、
キズナもソングラインやアカイイトといったG1馬を輩出しているものの
牡馬では未だにG1馬が出ていません。

今後コントレイルなどの産駒からG1馬は出てくるものと思われますが、
現状だけでいうと少し物足りないとも言えます。

こうした状況に伴い、リーディングサイアー争いでも彼らは苦戦を続けています。

2022年においてディープインパクト系種牡馬の中で最も順位が高かったのは4位のキズナです。

そしてその次はとなると、一気に順位が下がり25位のミッキーアイルとなります。

もちろんディープインパクト系種牡馬はまだ種牡馬入りしてから日が浅く
その産駒がまだ揃っていないこともありますが、それにしてもリーディングの上位にいなさすぎるとも言えます。

2023年は3月終了時点でキズナが4位に入り、
ミッキーアイルが15位、シルバーステートが20位と上昇傾向にありますが
それでもまだ物足りなさは否めません。

シルバーステートと同じ時期に種牡馬入りをし、種付け頭数で劣るキタサンブラックが13位となっているなど
他の父を持つ種牡馬の台頭が目立ってしまっています。

種牡馬の数が多いのに、そこから活躍する馬が出ないというのはかなり厳しい状況です。

今後ディープインパクト系種牡馬が生き残っていくには、現在上位に来ている3頭や
コントレイル、シャフリヤールといった馬たちが活躍馬を出さない限り難しいのかもしれません。

では、逆に広がりを見せそうなのはどういった系統なのでしょうか。

ディープインパクト系に代わりそうな系統は?

ディープインパクト系に代わりそうな系統は?

ディープインパクト系種牡馬が苦戦する中、着実にその血を広げているのがキングカメハメハです。

ロードカナロアを筆頭に現在14頭の産駒が種牡馬入りをしています。

さらにそのロードカナロアからはすでに5頭の種牡馬がおり、今後さらに広がっていくものと見られます。

ロードカナロアは今年ディープインパクトに代わりリーディングサイアーになる可能性が高く、
5位にドゥラメンテ、9位にルーラーシップと10位以内に3頭がランクインしています。

そうした面から見てもキングカメハメハ系種牡馬が今後上位を占めていくことが考えられます。

また、ダート界で見てみるとゴールドアリュールとサウスヴィグラスの産駒が8頭種牡馬として活動しています。

この2頭の子が今後はダート界を引っ張っていくものと見られますが、
最近は社台グループが米国からダート系種牡馬を多く輸入しているため
それらとの争いが激化していくものと見られます。

こうして見ていくと、いくら一代で圧倒的な産駒実績を積んでもその後が続かなければ
血は広がっていかないということを再認識させられますね。

それでもなんとかディープインパクトのサイアーラインはつながっていってもらいたいですね。

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