モーリス産駒によるG1総ナメが現実に!?ジャックドールに続きそうな馬は?

ジャックドールが大阪杯を制しました。
今回はそんなジャックドールに続きそうな馬や
3歳クラシック世代で注目のモーリス産駒などについて見ていこうと思います。
大阪杯をジャックドールが勝利

まずは大阪杯に勝ったジャックドールについて簡単に見ていきましょう。
ジャックドールはモーリスの初年度産駒で、日高町のクラウン日高牧場で産まれました。
クラウン日高牧場はこの勝利が嬉しい初めてのG1制覇となりました。
このジャックドールはデビューから現在まで全て芝2000mのみを走っており、
管理する藤岡健一調教師が適正を見極め、経験を積ませていったことによる成果だとも言えます。
今後は天皇賞(秋)を最大目標とし、宝塚記念も検討しているとのことですので
そこでも再び逃げ切ることができるのかに注目が集まります。
このジャックドールは5歳になってG1初制覇となりましたが
こうした古馬になってからの成長力がモーリスの魅力だと前々から言われていました。
ジャックドールもそうですが、モーリス、そしてその父のスクリーンヒーローもクラシックとは縁がなく
4歳になってから初めてG1に挑戦するという馬でした。
そのためモーリス産駒もクラシックで活躍するというより
古馬になってからトップクラスで走る馬が増えてくると見られていたのです。
そして初年度産駒が4歳となった昨年から徐々にG1へと出走し始めるようになり、
今年ついに古馬の王道路線の1つである大阪杯を制する馬が現れたのです。
また、モーリスの成長力を示しているのはジャックドールが勝利したということだけではありません。
大阪杯では産駒がジャックドールを含む4頭を出走させており、
これはディープインパクトの3頭を超える、同レースの最多頭数となりました。
先日の高松宮記念でもピクシーナイトが出走をしており、
芝の古馬G1であれば毎回モーリス産駒が顔を出すようになってきています。
ピクシーナイトは残念ながら13着と大敗しましたが
1年3ヶ月ぶりの実戦だったことを考えれば次走が勝負でしょう。
また、大阪杯で敗れた3頭も、掲示板を外したとは言えまだまだ成長が期待できる馬たちです。
ジェラルディーナはエリザベス女王杯の連覇が期待できますし、
ジャパンカップなどの長い距離でも牡馬と対等に戦える実力を持ちます。
ノースブリッジも3歳時には2ケタだったG2を5歳になり勝利するまでに成長しており
今後G1に手が届くまでになる可能性も十分考えられます。
ラーグルフは展開が向かず、前が開かなかったことが敗因となりました。
これらの馬が今後G1に手が届いてもなんら不思議ではありません。
また、今回出なかったオープン馬の中ではシーザリオの子であるルペルカーリアに大きな注目が集まります。
こちらもクラシックには出走できませんでしたが、徐々に力をつけて2022年7月に3勝クラスを勝利して
オープン入りを果たしています。
そこから現在まで長期休養をしていますが順調に調教が進んでいるようなので、5月か6月には出走してきそうです。
3歳時にはG2で2着に入ったものの重賞を勝つことはできなかったルペルカーリアですが、
5歳となった今、どのようなレースを見せるのか今から楽しみでなりません。
こうして当初の見込み通り古馬になり完成へと近づいてきた4歳、5歳馬たちが躍動することによって
モーリスの価値はますます上がっていきそうです。
さらに今年は、3歳でも楽しみな馬たちが続々と出てきています。
Expand Allモーリス産駒で楽しみな3歳馬

モーリス産駒が今年のクラシックに送ってくる馬は現在のところ3頭います。
まずその筆頭はノッキングポイントです。
前走の毎日杯では直線で前が開くのが遅れた影響もあり2着でしたが、
1800mで実力を発揮しました。
皐月賞の登録はありませんでしたが、走りを見る限りではNHKマイルカップだけでなく
2400mの日本ダービーでも期待ができそうです。
今年の牡馬クラシック戦線はかなりの混戦と見られているため
この馬が栄冠を手にしたとしても不思議はありません。
母のチェッキーノがオークスで2着だった無念を、子がダービーで晴らせるか注目したいと思います。
また牝馬ではムーンプローブとペリファーニアが桜花賞に出走を予定しています。
特にペリファーニアは前走のチューリップ賞において
スタートで大きく出遅れ、道中掛かる場面を見せながらも3着に入っており
実力を発揮できればチャンスはありそうです。
また、ムーンプローブも2歳時の阪神ジュベナイルフィリーズでは大敗したものの
前走でしっかりと立て直しており、成長している様子が伺えました。
この3頭がクラシックで活躍できるかどうかが
今後のモーリスの価値を定めるものとなるかもしれません。
とにかくモーリスは2歳戦、そしてクラシックで結果が出ていないため
その点が生産界でも足かせになっているように思えるからです。
モーリスの懸念点

2022年を振り返ってみると、2歳の3つのG1で出走をしたのはムーンプローブ1頭のみでした。
そしてこのムーンプローブも17着に敗れており、2歳戦から良い成績をあげることができていません。
最近の競馬界では早期デビューをさせていく傾向にあり、
早い内に勝利をあげてクラシックへ出走をさせたり、
賞金を稼ぐといったことが顕著です。
しかしモーリス産駒ではそれをあまり期待することができず、
特にトップクラスでの活躍があまり見込むことができません。
各世代ごとの2歳勝ち上がり数を見ると
初年度たちは176頭中32頭が2歳戦で勝ち上がり、
2年目世代が163頭中19頭、
3年目世代が137頭中23頭となっています。
これは勝ち上がり率で見ると、初年度18.1%、2年目11.6%、3年目16.7%となります。
ロードカナロアが初年度から17.7%、17.9%、13.8%
ドゥラメンテが18.5%、14.9%、17.1%ですから決して悪い数値ではありません。
しかしこの2頭はすでに2歳でG1を勝利する馬を輩出しており、
その点が出走する馬すらほとんど出ないモーリスとは異なります。
こうした2歳からトップクラスで活躍する馬が今後出てくるか否かが
モーリス産駒の分岐点となりそうです。
馬主としてもやはりできれば早期から活躍し、クラシックで活躍する可能性を秘めた馬を所有したいと考えます。
そうなれば、古馬での成長力があまり期待できずとも
クラシックに強いエピファネイア産駒などを購入することになります。
実際にこうした点はセリでの落札価格にも影響しています。
エピファネイア産駒は2022年で1億円を超えた馬が14頭いました。
一方でモーリス産駒で2022年に1億円を超えた馬は3頭しかいませんでした。
つまり特に高額馬を購入する馬主たちはクラシックで勝利することを夢見て
セリに参加しているということが言えるのです。
そしてこうやって産駒が高く売れるかどうかは、種付け料にも影響してきます。
2023年におけるエピファネイアの種付け料は1800万円ですが、
モーリスは値上がりしたとはいえ800万円となっています。
やはりそれだけクラシックで活躍できる馬が出るかどうかは種牡馬生活にとって重要になってくるのです。
今回ご紹介した3歳馬がどのような走りを見せるかによって
モーリスがさらに多くの良い繁殖牝馬を集め、大成功するかどうかが決まってきそうです。
それでも今回ジャックドールがG1を勝利したことにより、
成長力を証明できた点は非常に大きな出来事だったと言えるでしょうね。