ダート三冠の概要が明らかに。中央馬による激しい出走枠争いが起きそう

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2024年にダート三冠競走が創設されます。

JRAと地方競馬が連携して行われるこのシリーズについて
徐々にその詳細が明らかになってきました。

そしてそれを見てみると、かなり中央馬による出走枠の争いが激化しそうに感じられました。

そこで今回は、現時点で分かっているダート三冠の詳細、そして今後について見ていきたいと思います。

ダート三冠について今分かっていること

ダート三冠の概要

まずはダート三冠について簡単に概要を見ていきましょう。

ダート三冠はJRAと地方競馬が共同で取り組むプロジェクトです。

芝で開催されているクラシック競走のように、3歳ダート路線の頂点を決める戦いとなっています。

一冠目は4月下旬におこなわれる羽田盃、
二冠目は6月上旬におこなわれる東京ダービー、
そして最後の産巻目は10月上旬におこなわれるジャパンダートクラシックとなります。

いずれも開催地は大井競馬場で、距離もそれぞれ1800m、2000m、2000mと
あまり変わらないことが特徴となっています。

中央競馬の牡馬クラシック競走は2000m、2400m、3000mと距離の幅が広く
開催される競馬場も全て異なります。

それと比べて三冠ともほとんど条件の変わらないダート三冠で
どのように出走メンバーや勝ち馬が変化していくのかといったところが注目ポイントとなりそうです。

そしてこのダート三冠レースは羽田盃と東京ダービーが現在南関東重賞として開催されているのですが
これらがすべてJpn1へと昇格します。

またもともとジャパンダートダービーとして開催されていたレースが
ジャパンダートクラシックへと名称を変更します。

これまで3歳ダート路線のJpn1は、ジャパンダートダービーのみでしたから
一気に3倍に拡大することとなります。

こうした事柄が、これまでに発表されてきたことでした。

ただ具体的にどのようにレースへの出走条件が決まるのか、
中央所属馬と地方所属馬との割合はどうなるのかといったことなどは
当初発表されていませんでした。

もし純粋に収得賞金額順にすると賞金の高い中央競馬の馬ばかりになりますし
かといって地方を優先させすぎると、レースレベルに疑問が出てきます。

そうした絶妙なバランスが議論された結果、ようやく出走馬選定方法が明らかになってきました。

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ダート三冠の出走馬選定方法

東京シティ競馬の発表をもとに見ていきましょう。

ダート三冠における出走馬選定方法

資料出典:https://www.tokyocitykeiba.com/news/wp-content/uploads/sites/2/2023/03/bf00cb351a688e7a81fb26bd7f109a56.pdf

まずは一冠目の羽田盃についてです。

羽田盃には優先出走権が付与されるトライアル競走が4つ設定されています。

それぞれ1月中旬に船橋で開催されるJpn3ブルーバードカップ1着馬、
2月中旬に大井で開催されるJpn3雲取賞の上位2頭、
2月下旬に大井で開催される南関東の準重賞スターバーストカップの1着馬、
3月中旬に大井で開催されるJpn2京浜盃の上位2頭が優先出走権を得ます。

ダートグレード競走の3レースについては
中央馬は3頭のみが出走可能で、他は全て地方馬が出走します。

また地方の準重賞であるスターバーストカップは全て地方馬となっており
必ず1頭は地方馬が優先出走権を得られるようになっています。

京浜盃は雲取賞の場合、中央馬3頭、地方馬13頭となっており
中央馬の場合、まず出走することが大変になってきます。

そして羽田盃も中央馬4頭、地方馬12頭と設定されており
地方馬がかなり多く参戦することが決まっています。

さらにこれまでご紹介した優先出走権の話は全て地方所属馬が得られるもので
中央馬についてはまだ選定方法の詳細までは発表されていません。

もし地方馬と同じ条件にした場合、トライアル競走で全て上位が中央馬だとすると5頭が該当することになります。

しかし出走可能枠は4頭ですから、その中から1頭が外されてしまうことになります。

そして、他の路線で賞金を積み重ねた馬は問答無用で出走枠から漏れてしまいます。

たとえばUAEダービーに遠征し勝利した中央馬が、羽田盃を除外になるといったことも考えられるのです。

実際には総収得賞金額順で選定される馬が1枠はあるのかもしれませんが、
中央馬が羽田盃へと確実に出走するには、
まずトライアルの3頭という狭き門を突破しつつ、
そしてしっかりと上位に入ることが求められます。

こうした状況は二冠目も同じです。

二冠目の東京ダービーには
G3ユニコーンステークス、南関東重賞クラウンカップ、東京湾カップがトライアルに設定されており
本番の出走枠は中央4馬頭、地方馬12頭となっています。

ただ、三冠目になると少し状況が変わります。

南関東重賞の黒潮盃、G3レパードステークス、Jpn2不来方賞がトライアルとして設定され
本番では中央馬7頭、地方馬9頭が出走することができます。

ジャパンダートクラシックは10月上旬似開催されることもあり、
中央馬の賞金がかなり積み上がっていくこととなります。

そのため中央競馬の枠を拡大しないと不公平だということで、枠が広がったものと考えられます。

それでもこうして見ていくと、かなり地方馬に有利に設定されているように思えます。

他にも地方馬として認定される条件として
中央所属時に獲得した賞金は、出走馬選定時の総収得賞金に加算しないことや、
中央からの転入初戦の馬は三冠競走に出走できないといった制限があります。

つまり地方馬としてダート三冠に参加したければ、できるだけ初期から地方所属馬として走る必要があるのです。

こうしたことから、今後競馬界の流れはかなり変わっていきそうです。

JRAと地方の棲み分けが明確に

JRAと地方の棲み分けが明確に

このようにダート三冠が設定され、地方馬がかなり有利な条件となったことから
今後JRAと地方との棲み分けが明確になっていきそうです。

具体的には、芝に適した馬は中央へ行き、
ダートに適した馬は最初から地方へと所属するケースが目立ってきそうです。

これまでは能力の高い馬はダート血統でも中央競馬へ所属していました。

しかし地方競馬の賞金も上がり、3歳のダートグレード競走がかなり増え、ダート三冠競走も創設される今後
地方競馬にいた方がお得と考える陣営も増えていきそうです。

こうした流れはJRAとしても望んだ展開だと言えそうです。

中央競馬では下級条件での除外問題が以前からありました。

特にダート競走では出走希望馬が殺到し、多くの馬が思い通りにレースを使えないといったケースが見られます。

これは馬主にとっても出走回数が減るため損失が増えることとなり、良いことではありません。

そうした状況を考えると、できるだけダート馬は地方に所属してもらうことで
除外されるケースが減少することを期待できるのです。

ホッコータルマエ産駒や、パイロ産駒といった明らかにダートに偏る血統の馬は
中央競馬で通じる能力があっても3歳ダート三冠に出走させるため地方所属とするケースが出てきそうです。

この取り組みがうまく回れば、地方馬の全体的なレベルも押し上げられることとなり
JRA、地方競馬の両方ともにメリットがあると言えます。

そのためこうしたダート路線における地方馬の優遇は今後も加速していきそうです。

ちなみに今回ご紹介した出走枠は、あくまで初年度のみとして発表されています。

実際にどのような馬が出走し上位に来るかなどによって
次年度以降の出走枠や体系が変わっていきそうです。

ともかくダート三冠が盛り上がり、今後末永く開催されていくことを期待したいと思います。

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