ソールオリエンスは無敗の三冠馬になれるのか。血統面での評価と三冠を阻むライバルの存在

今年はソールオリエンスの三冠か?血統面やライバルから可能性を探る
今年の皐月賞は大混戦と言われていましたが、
フタを開けて見ればソールオリエンスの強さが目立った一戦でした。
このままいけば三冠達成も可能ではないかと思えるほどの
パフォーマンスでした。
今回はそんなソールオリエンスの三冠の可能性と
そこに現れそうなライバルの存在について見ていこうと思います。
ソールオリエンスが三冠を制することは可能?

まずは血統面や経歴から見てみましょう。
ソールオリエンスは父キタサンブラック、母スキア、母父モティヴェーターという血統です。
兄には先日屈腱炎により引退し、海外で種牡馬入りをすることが発表された
ヴァンドギャルドがいます。
2020年4月4日に社台ファームで生まれたソールオリエンスは
1歳になると社台サラブレッドクラブで総額6000万円で募集にかけられます。
父が違うものの、募集価格だけで見ると4つ上のヴァンドギャルドが8000万円、
1つ下のフォティーゾが4000万円となっており
スキアの子は少しずつ評価を落としていたことが伺えます。
これはヴァンドギャルド以外にオープンクラスに上がった馬が出てこなかったことが
理由としてあげられそうです。
そうした中、スキアのポテンシャルを存分に引き出したソールオリエンスは
美浦の手塚貴久厩舎へと入厩します。
そして2022年11月に2歳新馬戦に出走すると、単勝1.4倍の支持に応えて勝利します。
さらに翌年2023年1月の京成杯でも勝利し、重賞制覇を果たしました。
そこからは山元トレーニングセンターに放牧へ出ると
直接皐月賞へと向かいます。
その皐月賞では、最後方から大外を周り、一頭だけ次元の違う脚を見せて
クラシック第一冠を制しました。
3戦目での皐月賞制覇は史上最少のキャリアとなり、
まだまだ伸びしろを感じさせるレースでした。
では今後のダービー、菊花賞についてはどうなのでしょうか。
兄のヴァンドギャルドは父がディープインパクトでしたが、2000mまでの距離しか使っていません。
また他の兄弟も長距離を使ってきたような馬は見当たりません。
ただ、母系を見ると母父モティヴェーターがおり、
この馬がスタミナを供給してくれるものと見られます。
モティヴェーターは現役時代にイギリスダービーを制した名馬で、
産駒からは凱旋門賞でオルフェーヴルを5馬身突き放したトレヴらが出ています。
また、母の父としてもタイトルホルダーやメロディーレーンが出ており
この2頭が長距離で活躍している点を見ても、スタミナ面を補強してくれる存在となります。
さらに母の血統にはデインヒルやレインボウクエストといった血も入っており
むしろスピードよりもヨーロッパのスタミナ色が強い血筋と言えます。
また、ソールオリエンスの父はキタサンブラックで
すでに産駒からは皐月賞、ダービーで2着だったイクイノックスが出ています。
父自身も菊花賞を制している点を考えれば
ソールオリエンスが2400m、3000mという距離を苦にするとはあまり考えられません。
もしかすると皐月賞よりも強いパフォーマンスを見せることも考えられるほどです。
今年はハイセイコーが制した皐月賞以来となる重馬場での開催となりましたが
そこで大外から追い込んできた点を考えてもパワーとスタミナはこの世代では抜けていると言えそうです。
それではこの馬のライバルとなる存在はいないのでしょうか。
実は今回皐月賞に参戦していない中で、強力なライバルになりそうな馬がいます。
Expand Allソールオリエンスのライバルになりそうな馬
ソールオリエンスにとってダービー、菊花賞でライバルになりそうな馬は2頭います。
まず1頭目は、昨年のホープフルステークスの勝ち馬であるドゥラエレーデです。

ホープフルステークスを制した後はダート路線への転向を表明し、UAEダービーに参戦したことで
ファンを大いに驚かせました。
さらには米国三冠へ進む予定でしたが、その後は脚に不安を抱えこれを回避。
日本ダービーへ向かうことを表明しました。
これまでにないローテーションを進むドゥラエレーデですが、
そのポテンシャルは相当なものがあります。
ホープフルステークスでは皐月賞3着のファントムシーフらを抑えて単勝90.6倍の大穴を開け、
UAEダービーでは2着に敗れたものの、前走がフロックではないことを証明しました。
父がドゥラメンテ、母父がオルフェーヴルということを考えればダービーで距離が持たないということは考えにくいですし、
重馬場で疲労が残りやすい皐月賞に出走しなかったことも運が向いていると言えます。
また、ソールオリエンスが差し・追い込みの脚質であることを考えると
次からはマークが厳しくなり囲まれて進路を失う可能性があります。
逃げ・先行タイプのドゥラエレーデはそのような心配がほとんどなく、
マイペースで走ることができれば実力を発揮できます。
そうしたローテーションや脚質の面から、ダービーでソールオリエンスに勝つ馬として考えた場合
もっとも可能性が高い馬と言えそうです。
そして2頭目となるもう一頭は、ダノンザタイガーです。

ダノンザタイガーは2020年のセレクトセールで2億9700万円で落札された高額馬で、
東京スポーツ杯2歳ステークス2着、共同通信杯3着という実績がある馬です。
特に前走の共同通信杯では直線で進路がなく、前が空いた時には既に勝負が決まっていたという不運なレースでした。
スムーズであれば突き抜けていたと思わせるレースで、
しかもその時の1着、2着は今回の皐月賞で2着、3着となった馬たちでした。
そのため実力を考えればトップ戦線でも十分やっていける存在だと言えます。
残念ながら次走として青葉賞を予定していましたが放牧に入ったため
恐らく脚部不安などを発症したものと考えられます。
そのためダービーには出走することはできなさそうですが、
菊花賞で雪辱を晴らす姿を見たいと思います。
ハーツクライ産駒の菊花賞での成績はウインバリアシオンの2着が最高で
まだ勝利した馬はいません。
ダノンザタイガーがその最初の1頭目となることができるのか、
そしてそこでのソールオリエンスとの対戦に注目したいと思います。
ということでダービーにはドゥラエレーデ、菊花賞にはダノンザタイガーという強力なライバルが
ソールオリエンスを待ち構えることとなりそうです。
では、過去に無敗で皐月賞を制した馬はその後のダービーではどうだったのでしょうか。
ソールオリエンスの三冠達成の確率は?

過去に皐月賞を無敗で制した馬は、ソールオリエンスを除くと19頭います。
そしてグレード制が導入された1984年以降で見てみると9頭いるのですが
その馬たちのダービーでの成績はどうだったのでしょうか。
調べてみると、不出走だった2頭を除いた7頭の成績は
5勝、2着1回、4着1回とほぼ完璧でした。
そう考えるとソールオリエンスのダービーもかなり期待できそうですね。
唯一馬券外に沈んだのは2019年のサートゥルナーリアで、
この時はスタートで出遅れて直線大外に出したところ
最内で逃げたロジャーバローズに足をすくわれた競馬でした。
そのようなことを考えれば、やはり同じ様に前へ行ってレースを作ることのできる
ドゥラエレーデがソールオリエンスの強敵となりそうです。
また、三冠で考えるとこれまで無敗で達成した馬はシンボリルドルフ、ディープインパクト、コントレイルの3頭です。
無敗で皐月賞からダービーへと進んだ馬で考えると7頭中3頭が達成しているのですから
確率としては決して低くありません。
これらの歴史的名馬と肩を並べることができるのか、今から考えるだけでワクワクしてきますね。