2024年5月5日に開催されるNHKマイルカップ。
最近は有力馬がなかなか出走してこないケースがありましたが、
今年は史上最高レベルといった噂があります。
そこで今回はそんなNHKマイルカップに出走する
豪華すぎるメンバーとその展望について見ていきたいと思います。
■2歳王者と女王が激突
まず今年のNHKマイルカップの大きな見どころは、
2歳王者ジャンタルマンタルと2歳女王アスコリピチェーノの激突です。
ジャンタルマンタルは父パレスマリス、
母インディアマントゥアナという血統で、
2023年には3連勝でG1朝日杯フューチュリティステークスを制しました。
その活躍から2歳最優秀牡馬に選ばれました。
ただ、
3歳になった今年初戦となった共同通信杯ではジャスティンミラノに敗れました。
そして本番の皐月賞でも、
ジャスティンミラノに敗れ3着となりました。
これにより5戦3勝2着1回、
3着1回と決して悪い成績ではないものの
現状ジャスティンミラノに2連敗となってしまいました。
そうしたことから、
次走として陣営が選んだのはダービーではなくNHKマイルカップでした。
芝1600mは現状2戦2勝でG1も勝利していることからベストな舞台だと陣営が選択したのでしょう。
父のパレスマリスはダートの長距離で活躍した馬ですが、
産駒は芝のマイルで活躍しているケースが多くなっています。
ジャンタルマンタル以外にもシンザン記念を制したノーブルロジャーや、
初年度産駒で芝1609mのブリーダーズカップ・ジュヴェナイルターフを制した
ストラクターなどがいます。
そうしたことから、
血統面でもNHKマイルカップがダービーよりも合っていると考えても不思議ではありません。
そしてもう一方の2歳女王アスコリピチェーノも同様です。
アスコリピチェーノは父ダイワメジャー、
母アスコルティという血統で2歳の時には3連勝でG1阪神ジュベナイルフィリーズを勝利しました。
その後、
3歳となった今年は桜花賞に直行しましたが
前走でくだしたステレンボッシュに逆転され2着に敗れました。
それでもその差は4分の3馬身差で、
やはりマイルであれば力を発揮することができることを証明しています。
父のダイワメジャーは短距離からマイルあたりの活躍馬を多く出す傾向にあります。
一部にはダートの長距離で活躍したノーヴァレンダなども出ましたが
レシステンシアやメジャーエンブレム、
セリフォスなどマイルで強い競馬を見せるケースがほとんどです。
そのため、
オークスに向かうよりはNHKマイルカップにいった方が勝算はあると踏んだのでしょう。
こうして両者の陣営の思惑があり、
とうとう2歳王者と2歳女王がNHKマイルカップで激突することになりました。
JRAの長い歴史の中でも、
この2歳最優秀牡馬と2歳最優秀牝馬がNHKマイルカップでぶつかるというのは
史上初の出来事です。
どちらも2歳のマイルG1を勝利していることから、
この舞台はまさにベストという状況ですので
一体どちらが勝つのかというのは現状予想がつきません。
これだけでもかなり期待ができるNHKマイルカップですが、
今年はさらにこの2頭を飲み込むかもしれない大物候補も出走します。
■2歳王者と女王を飲み込む大物候補
今回大物候補として騒がれているのが、
ゴンバデカーブースです。
ゴンバデカーブースは父ブリックスアンドモルタル、
母アッフィラートという血統で2歳の頃には2連勝でG3サウジアラビアロイヤルカップを制しています。
そして年末にはホープフルステークスに出走を予定していましたが、
直前で取り消すことになりました。
その後は長期休養に入っており、
復帰戦として陣営が選んだのがNHKマイルカップでした。
ホープフルステークスを取り消してから
約5ヶ月後の復帰戦がG1というのはかなり厳しいような印象があるものの、
逆にここを勝てば、
怪物級の馬だということができます。
実際これまでのレースを見ているとその可能性は十分に感じられます。
デビュー戦は逃げて楽勝しており、
2戦目のG3では道中9番手を進むと直線で上がり33秒5の末脚で全馬を飲み込みました。
この2戦目もデビューから4ヶ月の休み明けでのパフォーマンスでしたから、
同様に考えればしっかり本番でも結果を残してくれるはずです。
相手はかなり強敵ではありますが、
それでも勝てるだけのポテンシャルは秘めているように感じます。
ではNHKマイルカップはこのゴンバデカーブースを加えた3頭が中心なのかというと、
そう簡単にはいきません。
今年はトライアルレースの勝ち馬も勢揃いしています。
ニュージーランドトロフィーを制したエコロブルーム、
さらにアーリントンカップを制したディスペランツァもNHKマイルカップへと進みますし、
さらにファルコンステークスの勝ち馬であるダノンマッキンリーまで出走します。
他にもシンザン記念覇者でジャンタルマンタルと同じパレスマリス産駒のノーブルロジャー、
ゴンバデカーブース、
エコロブルームの2着となっているボンドガールなど、
逆転を期待できる馬も揃っています。
つまりマイル路線で考えられる限りほぼすべての路線から有力馬が集まってきたのが、
今年のNHKマイルカップと言えるのです。
かつてNHKマイルカップは、
外国産馬によるダービーと言われていたことがありました。
これはクラシックに外国産馬が出走できなかったことから、
NHKマイルカップに有力な外国産馬が集結していたことが由来となっています。
例えば1998年のNHKマイルカップ覇者であるエルコンドルパサーも、
ジャパンカップや凱旋門賞を見れば適性は2400m前後にあったと考えられ
もしダービーに出走していれば スペシャルウィークらと良い勝負をしていたはずです。
そのような外国産馬の受け皿となっていたNHKマイルカップでしたが、
時代とともにその意義は変化していきます。
特に2001年にダービーと菊花賞、
2002年に皐月賞、
2003年にオークス、
2004年に桜花賞と外国産馬がクラシックに出走できるようになったため
NHKマイルカップは本来の意味を失っていました。
今では皐月賞で良い結果が出なかった馬や、
ダービーへの賞金が足りない馬などが集まるようなケースが多くなってしまったのです。
そのためレースレーティングもかなり低めとなっており、
特に2009年は106.25とG3レベルになったこともありました。
そのような状況により、
一部では不要論まで出てきていたのがNHKマイルカップでした。
そうした中で、
このように牡馬、牝馬両方から多くの有力馬が出てきたというのは
奇跡と言える状況かもしれません。
もしかするとこうした2歳王者と2歳女王が揃うNHKマイルカップは
これが最後かもしれないと考えればとても貴重なレースとなりそうです。
ちなみに朝日杯フューチュリティステークス覇者がNHKマイルカップに出走した場合、
優勝したのは2019年のアドマイヤマーズのみとなっています。
また阪神ジュベナイルフィリーズ覇者によるNHKマイルカップ制覇も
2016年のメジャーエンブレムのみとなっています。
果たしてジャンタルマンタルはそうした状況の中で
2000年代2頭目の覇者となることができるのでしょうか。